悲しそうに、淋しそうに、そんな素振りを見せずに、あなたは僕の前からいなくなった。電話の受話器の向こうに、あなたの、僕への気持ちが残っているのか聞き出せなかった。最後にあったとき、あなたと僕は少しだけ抱きしめ合った。まさか、あなたと会えなくなるなんてそんなことを考えもせず、僕は、突き放してしまった。ぽっかり空いた穴は、本当にふさがらないってあとで気づいた。最後にあなたに会った記憶はドアを閉めたあなたの背中だけ。
6/26/2024, 3:32:41 PM