変わらないものはない。
人はどんどん大きくなったり、考え方が変わったりする。
花は綺麗に咲いて、枯れて、まだ咲く。
鉄はいつか錆るし、写真はいつか色褪せてゆく。
ーじゃあシーマは?
年齢はもう変わらない。
身長も伸びない。
いつまで経っても変われない。
………それでも
変われるって信じたい。
だから髪を切って見たりした。
だから魔法の研究をしてみたりした。
だから………旅を始めた。
シーマも変われるって信じて。
だって……
ー変わらないものはないー
シーマ・ガーベレル
『あ、あの………』
『んー?どうしたの?』
『えっと、なんだか不思議な臭いがして……お母様ま何を何をしているんですか?』
『これ?これはね、ゆずのジャムを作ってるのよ』
『ゆずのジャム?』
『そ。パンに塗って食べるの』
『そうなんですか。美味しいんですか?』
『ええ!とっても!』
ー
「リース?どうしたの?ぼーっとして」
「あ、すみません………」
「それで、この臭いってなんの臭いなの?」
シーマさんにゆずの香りについて聞かれて、つい昔のことを思い出してしまった。
最初は少し独特に感じるゆずの香りに驚いてしまったが、今ではすっかり平気になっていた。
「たぶん、あっちで売っているゆずの香りですね」
「へー」
私とは対照的にシーマは少し臭いに顔をしかめながらお店づくりに売っていたゆずを見た。
「あれっておいしいの?」
昔の私と似たような質問をシーマがしてきてしまうもだからつい顔が緩んでしまう。
「近くにゆずを使ったお菓子が売っているみたいなので、見に行って見ましょう」
ジャム以外のゆず料理は食べた事無いが……
「きっと、とっても美味しいですよ」
なんとなく、そう思った。
ーゆずの香りー
リース・リリィーナ
母に愛されず人に怯え続けている子に
別れを繰り返し疲れ果てた魔女に
人を信じることをやめた孤独な子に
周りから“力”としか見られなくなった剣士に
あなた
そして毎日を必死に生きている創作者に
たくさんたくさん愛を注いであげてください
もしちょっと嫌いになってしまっても
また愛せると思ったら
愛を注いであげてください
きっと愛がなくなることをすごく恐れているので
あなたの愛はあなたにしかあげられないから
独りはとても寂しいから
ー愛を注いでー
Melody
お母さんに殴られて痛い身体にも
いじめでズタズタにされた心にも
人目に怯えるようになったわたしにも
誰が観ているわけでもないのに
全てに蓋をして、平気なフリをし続けている
そんなの………………
ー助けてもらえなくて当然でしょ?
………………………………………………だから、
なんでもないフリなんてしないで。
ーなんでもないフリー
???・?????
仲間。
イメージとしては、互いに信頼できて、仲良くて、あと……頼りになる感じ!………でも、
「シーマ、あの………あ、いえ、なんでもないです」
「私はいいので、シーマ先にどうぞ」
「私なんか………」
リースは、なんか違う。
全然信頼してくれてる感じないし、壁があるし、頼りにしてくれないし………
………きっと、過去に何かあったんだろーなーとは思うけど、やっぱり仲良くなりたい。
「………よし。がんばろっ」
ー仲間ー
シーマ・ガーベレル