『あ、あの………』
『んー?どうしたの?』
『えっと、なんだか不思議な臭いがして……お母様ま何を何をしているんですか?』
『これ?これはね、ゆずのジャムを作ってるのよ』
『ゆずのジャム?』
『そ。パンに塗って食べるの』
『そうなんですか。美味しいんですか?』
『ええ!とっても!』
ー
「リース?どうしたの?ぼーっとして」
「あ、すみません………」
「それで、この臭いってなんの臭いなの?」
シーマさんにゆずの香りについて聞かれて、つい昔のことを思い出してしまった。
最初は少し独特に感じるゆずの香りに驚いてしまったが、今ではすっかり平気になっていた。
「たぶん、あっちで売っているゆずの香りですね」
「へー」
私とは対照的にシーマは少し臭いに顔をしかめながらお店づくりに売っていたゆずを見た。
「あれっておいしいの?」
昔の私と似たような質問をシーマがしてきてしまうもだからつい顔が緩んでしまう。
「近くにゆずを使ったお菓子が売っているみたいなので、見に行って見ましょう」
ジャム以外のゆず料理は食べた事無いが……
「きっと、とっても美味しいですよ」
なんとなく、そう思った。
ーゆずの香りー
リース・リリィーナ
12/22/2023, 10:23:46 AM