「にゃぁ~」
「?」
リースと共に街を歩いているとどこかから弱々しい鳴き声が聞こえてきた。
「この声……どこからだろ」
「……ねえ、どこにいるのー!?」
「ほわっ…と」
どこにいるか探そうとすると、隣りにいたリースがいつもより大きな声を出して動物に呼びかけた。
リースにしては大きい声とあまり聞き慣れないタメ口に驚いてしまった。
「……にゃぁ」
「こっち?」
リースは狭い路地の中へ入って行った。
(……何だかリース、動物の言葉が分かってるみたい)
リースの行動を見ていると、なんとなくそう思った。
シーマも後を追いかけようかと思っていたら、リースが子猫を抱えて出てきた。
「リース、その子って……」
「怪我をして、動けなくなってしまっていたらしくて……もう怪我は治したので、大丈夫ですよ」
「そっか〜、よかった〜」
リースは子猫に一言掛けてから地面に放した
子猫はまた「にゃぁ」と鳴いたあと、何処かへ行ってしまった。
「リースは優しいねー」
「そ、そんなことないですよ……」
「ところで、どうしてねこちゃんがあそこにいるってすぐ分かったの?」
「え?…そ、それは………その」
シーマが聞くとリースは口籠ってしまった。
「あ、無理に聞くつもりはないから!」
そう誤魔化して、シーマはリースの前を歩き始めた
うーむ、中々リースはガードが固い
未だずっと敬語だし……何だかタメ口を使ってもらえた子猫に負けた気分だ(←流石に考えすぎかな?)
(リースには、もう少し心を開いてもらえると嬉しいんだけどなー)
せめて、タメ口を使えるぐらいには♪
ー子猫ー
シーマ・ガーベレル
どこか遠くなった耳にざわめく人たちの声が聞こえてくる。
横からわたしに突っ込んできた………トラックだろうか?それともただの車?もう首が上がらないから確認できないけど、それにはねられた身体はそこら中が痛む。
しかし、そんな痛みがどこか心地良い。
(ああ、わたし死ぬんだ)
意気地無しのわたしには逃げるという選択が出来なかった。けど、救済はこんな形で訪れた。
今はただただそれか………うれしかった。
ああ、だんだん意識が遠のいて行く。何かのサイレンが聞こえてくるが、もう手遅れだろう。
生きてて良いことなんて全然なかったけど、動物さんたちに会えなくなるのは少し寂しいな。
………お母さん、お母さんはわたしのこと嫌いでも、わたしはお母さんのこと、好きだったんですよ。
だから………
(また会いましょう)
ーあの世で
ーまた会いましょうー
?? ??
スリル、と言えば何だろう。
ばんじーじゃんぷ?それとも映画でよく聞く爆弾の導火線を切るやつ?まあ私には一般常識は分からないが…
「はっあー………………」
「どうしたのロコ?すっごく大きなため息なんかついて」
「………別に」
ー数十分前ー
「いい?これから入る森は危険な植物が多いから気をつけるのよ。はぐれないように!」
「了解!(>ω<)ゝ」
ー数分後ー
「あ!きれいなお花があるよー」
「ああ、ヒガンバナね。一応毒を持ってるから、不用意に近づかないで」
「はーい」
ー更に数十分後ー
「あ!あれってクローバーかなー?」
「待って、足元にローレルジンチョウゲがあるから!あんまり先走らないで!」
「ろー、なに?」
ー更に数十秒後ー
「あ、あのきのこ珍しい!赤くておいしそう!」
「それベニテングタケ!!」
ーそして現在ー
「はあ………………」
………あとはもう、言わずもがなだろう。
スリル
ーライトとの旅ー
ロコ•ローズ
「わあ、見て見て!あそこ、イネがいっぱいある!」
少し日も傾いてきた頃、私とライトはきれいなイネ畑を見つけ、ライトは少し……いや、かなりはしゃいだ様子で話しかけてきた。
「あれはススキね」
「ススキ?」
「そ。イネの仲間よ」
この世界で植物の種類などに疎いところを見ると、やはり彼女は世間知らずなのだなと感じる。
「初めて見るの?」
「うん!家の近くで普通のイネは育ててたんだけど……ねえ、ススキにも花言葉はあるの?」
「あるわよ」
「どんなどんな?」
「……『活力』とか『精力』ね」
私はグイグイと質問してくるライトに無難な答えを返した。
「そーなんだー。やっぱりロコって物知りだね!」
それでも彼女は満足そうに私の話しを聞いていた。
「それより、早く行きましょ」
「あ、はーい」
私が急かすと少し名残惜しそうにしながらも、元の道を歩き始める。
「………………」
……実はススキにはもう一つ、私が意図的に言わなかった花言葉があった。
だって、それは余りにも私たちには……いや、私にはふさわしくない花言葉だったから。
(偽りだらけの私には………)
ススキ ・・・・・
花言葉 ・活力・精力・心が通じる
ーススキー
ロコ・ローズ
一番意味がないじゃんって感じることは生きること
だって自分が漫画の主人公になれるわけでもないし、歴史上の人物みたいに凄いことをできるわけでもない
むしろ辛いことばかりで死にたくなることばかりだ
でも私は美味しいご飯は食べたいし、歌も歌っていたい。
生きることに意味なんて無いと思う
ーでも、とってもくだらない、生きたい理由ならある
今はきっと、それだけで十分だ
ー意味がないことー