「にゃぁ~」
「?」
リースと共に街を歩いているとどこかから弱々しい鳴き声が聞こえてきた。
「この声……どこからだろ」
「……ねえ、どこにいるのー!?」
「ほわっ…と」
どこにいるか探そうとすると、隣りにいたリースがいつもより大きな声を出して動物に呼びかけた。
リースにしては大きい声とあまり聞き慣れないタメ口に驚いてしまった。
「……にゃぁ」
「こっち?」
リースは狭い路地の中へ入って行った。
(……何だかリース、動物の言葉が分かってるみたい)
リースの行動を見ていると、なんとなくそう思った。
シーマも後を追いかけようかと思っていたら、リースが子猫を抱えて出てきた。
「リース、その子って……」
「怪我をして、動けなくなってしまっていたらしくて……もう怪我は治したので、大丈夫ですよ」
「そっか〜、よかった〜」
リースは子猫に一言掛けてから地面に放した
子猫はまた「にゃぁ」と鳴いたあと、何処かへ行ってしまった。
「リースは優しいねー」
「そ、そんなことないですよ……」
「ところで、どうしてねこちゃんがあそこにいるってすぐ分かったの?」
「え?…そ、それは………その」
シーマが聞くとリースは口籠ってしまった。
「あ、無理に聞くつもりはないから!」
そう誤魔化して、シーマはリースの前を歩き始めた
うーむ、中々リースはガードが固い
未だずっと敬語だし……何だかタメ口を使ってもらえた子猫に負けた気分だ(←流石に考えすぎかな?)
(リースには、もう少し心を開いてもらえると嬉しいんだけどなー)
せめて、タメ口を使えるぐらいには♪
ー子猫ー
シーマ・ガーベレル
11/15/2023, 11:17:14 AM