「わあ、見て見て!あそこ、イネがいっぱいある!」
少し日も傾いてきた頃、私とライトはきれいなイネ畑を見つけ、ライトは少し……いや、かなりはしゃいだ様子で話しかけてきた。
「あれはススキね」
「ススキ?」
「そ。イネの仲間よ」
この世界で植物の種類などに疎いところを見ると、やはり彼女は世間知らずなのだなと感じる。
「初めて見るの?」
「うん!家の近くで普通のイネは育ててたんだけど……ねえ、ススキにも花言葉はあるの?」
「あるわよ」
「どんなどんな?」
「……『活力』とか『精力』ね」
私はグイグイと質問してくるライトに無難な答えを返した。
「そーなんだー。やっぱりロコって物知りだね!」
それでも彼女は満足そうに私の話しを聞いていた。
「それより、早く行きましょ」
「あ、はーい」
私が急かすと少し名残惜しそうにしながらも、元の道を歩き始める。
「………………」
……実はススキにはもう一つ、私が意図的に言わなかった花言葉があった。
だって、それは余りにも私たちには……いや、私にはふさわしくない花言葉だったから。
(偽りだらけの私には………)
ススキ ・・・・・
花言葉 ・活力・精力・心が通じる
ーススキー
ロコ・ローズ
11/10/2023, 10:57:48 AM