アスファルトの奥深くで
うごめいている地球
蛇口の先には
あるのだろうか氷河
とおくとおく
見えないところで繋がって
実はいつも傍らにあった
うすく層になった命たち
見ようとすれば
見えたのかもしれない
あたたかい空気の回る
吹き抜けでねむりについて
ふぅともほぅともつかない
息がもれる
この空気も
大気の中でただよって
休まることを知らない星たちや
木の実を拾う縄文人や
交通渋滞を知らないミライジンにも
届きますか
それは今生きていることの
証明になりますか
#ずっと隣で
肌と肌がぺったんと ひっついて
でもまだ近づきたいと思うとき
もうこの先どこに向かえばいいか
わからなくなる
飽きてしまうのではない
慣れてつまらなくなるのともちがう。
あなたの中にもっと
ちがうあなたを探す
ふれれば ぷにんと揺れる
スライムのように
絶え間なく姿かたちを
変えてゆくシルエット
であったとき
すれ違ったとき
近くにいたとき
離れたとき
いまもこれからもきっと
あなたは変わらぬあなたでも
いつも新しい面をみつける
もう終わっちゃうんじゃない
と言うわたし
まだ始まってすらいないよ
と笑うあなた
ぺったん
ぺったん
その先は
#もっと知りたい
それはなにげない朝
窓からみえる青々とした緑
頬にあたる陽の光
読まれるのを待つ積読本
いつものチーズトースト
おはようと言う相手のいる朝
ぼんやりした脳内に
まぼろしのなような朝が流れる
いまには今の日常があり
今にはいまのしあわせがある
あらゆることを経験し尽くしたような
気もするし
全くなにも知らないような気もする
楽しく生ききるには長すぎて
生きるために生きる日々を思ってこわい。
#平穏な日常
「また弱音ばっかりはいちゃうけどだいじょうぶ?」
「そのために俺がいるんでしょ?」
どうしてもっと早く
あなたのよさに気づかなかったのだろう
そのやさしさ ぬくもり 頼りがい
ぬくぬくと育っていく木のように
打出の小槌から溢れる小判のように
隣にいれば
しあわせが増えていく
喜びが何倍にもなる
そんな予感にふるえる
かけがえのないものでしょう?
#お金より大事なもの
「ふつうのゆめ」
わたしの夢は
自分にしかできないことをする
ことだった
どんな職業の名前も
どんな肩書きも
みんな自分じゃなくてもいいこと
と思って手放した
なにも選ばなかった私
可能性だと思っていたことは
あまりにつかみどころがなく
不可能だと思うことがふえた
自分にしかできないことなんてひとつもない
すん、と希望のとびらがひとつずつ
ゆっくりと閉じていく音がした
だけれど同時に開かれたもの
すべてが自分にしかできないことなんだろう
ということ
いまここに存在して
目の前の人に少なからず影響を与え
過去があって今があって未来があるということ
誰よりもふつうでいい
私であることは誰にもできない
#誰よりも