「しあわせ、なのかもしれない」
これはしあわせ、なのかもしれない
未来を考えるよゆうがあること
悩めるだけの選択肢があること
おしゃべりして分け合って
こころを軽くできること
あーとかいーとかいろいろ文句を言いながら
過ごしているけれど。
しあわせ、なのかもしれない
いつものあれこれ
眠りにつくとき寂しさではなく
安らかな気持ちである今日
これはきっと、しあわせ
#貝殻
病室にあるイメージ
横に垂らした黒髪
結ばれたリボン
水色のゆかた
細長のかお
とうもろこし
不謹慎だけれど
閉じ込められた空間の
そのパッキングされた空気の中で
ただひたすらに
生きることについて
考えてみたい
精いっぱいの表現を
してみたい
#病室
ベッドの半分が寂しい。
隣にいた、あたたかなぬくもりの不在に
わたしはまだ慣れない。
タンスの引き出し、
ダイニングチェア、
湯船、玄関、
どこかしこに 彼がいたはずの不在の跡が
くっきりもと残っている。
同じ公園でお弁当を広げ
同じ道を歩いて帰る
わたしの毎日はそんな不在の跡に
苦しめられ、
「ここではないどこか」
いつもいつもどこに行きたがっていたんだろう
飛行機を見れば
そのさきに行きたいと思い
外国の香りに魅せられて
現実ではないどこかをさまよって
地に足をつけるなんて一生できない
自由でいたいだけなのに
自由がどんどん自分を苦しめていく
ここではないどこか、
#遠くの空へ
こころが
どこにあるかわからない
もうなにが不安なのか
わからないほどに
不安が染み付いて
頭からずっとずっと消えなくて
でもいまやめたところで
きっとなにも変わらなくて
なにもしてないのに
なんにもしてないのに
もう休みたくて
肺を覆い尽くすほどに
なにか息をできなくさせるような
黒々としたなにかが
胸に詰まっていて
いつも吐きそうで
どうして笑っていたのか
どうして希望を持っていたのか
なにもわからなくて
助けてほしい
けどもはやなににすがればいいのかすら
わからない