ベッドの半分が寂しい。
隣にいた、あたたかなぬくもりの不在に
わたしはまだ慣れない。
タンスの引き出し、
ダイニングチェア、
湯船、玄関、
どこかしこに 彼がいたはずの不在の跡が
くっきりもと残っている。
同じ公園でお弁当を広げ
同じ道を歩いて帰る
わたしの毎日はそんな不在の跡に
苦しめられ、
「ここではないどこか」
いつもいつもどこに行きたがっていたんだろう
飛行機を見れば
そのさきに行きたいと思い
外国の香りに魅せられて
現実ではないどこかをさまよって
地に足をつけるなんて一生できない
自由でいたいだけなのに
自由がどんどん自分を苦しめていく
ここではないどこか、
#遠くの空へ
こころが
どこにあるかわからない
もうなにが不安なのか
わからないほどに
不安が染み付いて
頭からずっとずっと消えなくて
でもいまやめたところで
きっとなにも変わらなくて
なにもしてないのに
なんにもしてないのに
もう休みたくて
肺を覆い尽くすほどに
なにか息をできなくさせるような
黒々としたなにかが
胸に詰まっていて
いつも吐きそうで
どうして笑っていたのか
どうして希望を持っていたのか
なにもわからなくて
助けてほしい
けどもはやなににすがればいいのかすら
わからない
「おおきな存在」
うまく言葉にならない
こころの内が
伝えられなくて
もどかしい と
どんなに近づいても
身体の厚みのぶんだけ
まだ遠い と
傷つけるとしても
この感情の渦を
発さずにはいられない と
目にみえるものだけで
愛を確かめようとして
くるしい と
ふたりの未来が
見えそうで
見えなくて
不安だ と
眠りにつくときには
湯たんぽのような
あなたのぬくもりを
感じたい と
動かされるこころが
痛くも、
あなたが
どんなに
おおきな存在か
を教えてくれる
わたしの愛が
あなたに
届きますように
もっと辛抱づよく
もっと晴れ晴れと
もっと伸びやかに
あなたを愛していたい
あなたに愛されたい
#不条理
自分の体が小さな、けれど殺傷能力のあるトゲや刃で覆われているような気がする。
自殺しようとする人間が、刃物を振り回して、くるな!来たら刺すぞ!と言っているようなあれ、とも近い。
傷つけるのをわかっているから、どうか誰も今の私には近づかないでほしい、とも思う。
といいながら、ほんとは、体に刃が刺さってでも私を抱きしめに来てくれる人を求めている。