「不安の正体」
ふあん、は、
どこからともなくやってくる
あのときのわたしは
どうしていまのわたしになってしまったの
あのときに思い描いたみらいは
こんなはずじゃなかったのにな
あのときのがんばりは
どこに消えてしまったのだろう
一直線、でなくてもいいけれど、
せめてつながっていると思いたかったな
かこのあれこれ
なにも、ふあん、ではなく、
だれとも、くらべる、ことなく、
まわりにはゆかいな人がいて
まいにちが楽しくて
自分がすきで信じられて
みらいに希望があって
そんなころの自分に戻りたいなぁ
それがいちばんのねがい
「行末」
結局のところ
わたしたちは
人の目を気にして
つなぎとめて
急ぎ足で
効率よくふやして
人の波に飲まれて
おぼれて
意味があるのか
ないのかわからないことを
ただ繰り返して
結局のところ
わたしたちは
どこに向かっているのだろうか
変化
それは がらがら と
音を立てて壊れるようなものではなく、
スノーボールの周りが ほろほろ と崩れて
中から実は声をひそめていた、
小さなまあいる真珠が生まれ出てきたような
花水木の薄い花びらが ほわほわ と
柔らかく優しく開いていくような
そんな
静かでいて
でもなにかが決定的に変わる
静寂の中の凛とした音をはなつもの。
どきまぎしたり、
じたばたと暴れ回りたいような
落ち着かない気持ちに襲われることも多々あるけれど。
まっすぐにすすめばいいんだ
変化の先に生まれ出ようとするわたしを信じて
つづくと思っていたものは
いとも簡単に
終わりをむかえる
またすぐにね、と言った
あの感覚は
しだいに遠い過去に
そうやって
ひとはまたひとりになっていくの
ひとりで生まれてきた世界
いくつもの
朝をむかえ
食卓を囲み
花を飾り
生活した記憶に
彩られた
旅の終わりに感じるのが
旅した時の流れの速さであるように
死ぬ間際きっと
人生の旅はあっという間だったと言うだろう
木の椅子に腰をかけ
ぽつりと呟く
そんな自分の姿がいとも簡単に想像できる
さようならさようなら
ときどき
この世界にお別れを
告げる日のことを思って泣きたくなる
今のすべてが
愛おしい時であるはずなのに
どうしてもっと
大切にしないのだろう
#終わらせないで
今日は電話する元気がない
と言われ
た
ぜんぜんだいじょうぶだよ
と答え
実際
そう
思っている
んだけど
元気がないから電話したいんだ
と思って
もらえる
ような
存在に
なりたいな
と
まだ
健全なわたしは
考えてい
る
#愛情