【風景】
焼きついて離れないあの風景。
家が燃え、妹が泣き叫び、けたたましく鳴り響く消防車のサイレンの音。
消火後に家の中から連れ出されたのは母が焼け焦げて息絶えた姿。
母は私と妹と一緒に逃げる途中に柱の下敷きになってしまい動けなくなってしまった。
そんな母は最後まで笑顔だった。
「妹を連れて逃げなさい、あなたならできる。消防隊の人たちが来たら私も助かるから。先に行きなさい」そう言われ、その言葉を信じ妹を連れて外へ出た。
結果、母は死んだ。
なぜ、私はあの時母を助けなかったのか。
母が死んだのは私のせいだ。
見殺しにしてしまった、最愛の母を。
母の葬式の日、親族の人たちは誰1人私を責めなかった。
それどころか「よく妹を守った」「これから困ったことがあればいつでも頼っていい」と言ってくれた。
怖かった。優しくしてくれる人たちまでも私のせいで死んでしまうかもしれないと。
また、母のようになるかもしれないと。
消えることのない罪と絶望。恐怖とあの時母を助けなかった自分への憎しみ。
死ぬなら、あの日の母と同じように。
【君と僕】
君と僕は違う人間だから。
アイツの口癖は「俺たちは似たもの同士だから」だった。
似ても似つかない性格の僕とアイツ。
正義感の強いアイツに対し僕は捻くれた根性ナシだ。
その証拠に、正義感が強いアイツが気に食わなかったらしい先輩たちに目をつけられ、死まで追いやられるほどのいじめを受けていたのを知っていたのに救えなかった。
アイツは僕がいじめられている時助けてくれたのに。
やっぱりぼくとお前は、似たもの同士なんかじゃなかったんだよ。
【夢へ!】
私の夢は自由になること。
夢を叶えるためになにをすればいいのかなんてわからない。
それでもできることはやってみるようにしている。
全ては、夢を叶えるために。
【元気かな】
あの時いじめてきたあいつ、元気かな
二度と会うことないからどうでもいいけど笑
そんなことを思ってしまう自分は性格が悪い。
だが、こんな性格になったのはどう考えたってあいつ、いやあいつらのせいだから。
私のせいじゃない。
【遠い約束】
六年前、親友との約束。
私も親友も別々の場所で働くことになり、会えることもなくなるからと2人で決めた約束。
もし、29までに結婚できなかったらこの丘の大木の下に来ること。
彼女の誕生日から一週間経ったが、一向に姿がない。
そういうことなのだろう。
今なら言えるが、私は親友が、、いや彼女が好きだった。
一度も彼女のことを親友だと思ったことはない。
ずっと、私にとっては好きな人だった。
約束を交わした日から六年。
彼女のことを忘れたことはない。
あわよくば、自分の恋人として。
それが無理なら誰とも結ばれてほしくなかった。
酷いことを思っているのはわかっている。
ただ、今だけはこの行き場のない気持ちを吐き出させてほしい。
六年しか経っていないのに遠い昔の話のように感じてしまう。
彼女を忘れ去れた頃は私は果たして幸せなのだろうか。