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9/18/2023, 10:49:49 AM

夜の闇の中、きらきらと輝く明かり。その景色はさながら、電飾の海を眺めているようで。どこか知らない別世界に来たような気分になる。
CMなどで聴いたことのある会社や企業の本社と見られるビルの看板。近未来を感じるマンションの青い光。本当に存在した109のピンクネオン。
物理的にも心理的にも、眩しかった。

9/17/2023, 11:43:33 AM

私だけが知っている花畑がある。
花畑を、荒らされたこともあった。
何とかやり過ごすために、自分で花を間引きすることもあった。そうしていたらいつの間にか、花畑の存在を忘れていた。
久しぶりに帰ってみたら、随分とひどい有様だった。でもそれが私には、どうしようもなく愛おしく、大切な景色に見えた。
いつか、ここを美しいと言ってくれる人に、案内してみたい。

9/14/2023, 11:17:29 PM

幸せでした。
貴方と出会えて、貴方の側で貴方を支えることができて。
もし先に私が死んでしまっても、悔いはなかったんです。貴方のためにこの命が燃え尽きることは、本望ですから。
でも、貴方はそれを許さなかった。ご自分の命を燃え尽かせた。
何で、燃え尽きても良い命が残り、燃え尽きてはいけない、燃え尽きてほしくない命が消えてしまうのでしょうか。

9/12/2023, 10:45:56 AM

こんなことを言ったら、言い訳になってしまうかもしれないけれど。
私、出会った時からずっとあなたが好きだったようです。自分でも気がつかなかった。
誰もが、持っていた方が世渡りをする上で楽だと考える心を、あなたは持っていません。決して、非情というわけではないのに、どこか冷たさを感じてしまう。でもそれは、誰よりも考えているから。
ためらわずにはっきりとものを言う強さもある。
そして何より、その人を守るためにその人を傷つけることができる。
だから、誇り高くありたい私はあなたに屈して、あなたに本気の恋をしたのだと思います。

9/11/2023, 1:02:18 PM

「はい」
「…何これ?」
「カレンダー」
「…何で?」
可愛いキャラクター達があしらわれたカレンダー。
うざったらしいほどのきらきらした笑顔で、あの子は、不老不死の私に差し出してきた。
「私、日数とか年数とか気にする次元を超えてるんだけど」
今でさえ、この世に生を受けてから100年近く経っている。いちいち時を数えるのも冷めるというものだ。
「そうじゃなくて!ここに、たくさん予定を書いて実行していくの。予定を考えてるだけで楽しいだろうし、毎日も充実するよ!」


そう言われてから、もう500年が経った。相変わらずこの体だけは全く変わらない。私に唯一笑いかけてくれたあの子は、ずっとずっと昔に死んだ。
カチリとペンをノックして、500日目の予定を考える。
『首を吊ってみる』と書いた。
やっぱり全然楽しくない。

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