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9/11/2023, 1:02:18 PM

「はい」
「…何これ?」
「カレンダー」
「…何で?」
可愛いキャラクター達があしらわれたカレンダー。
うざったらしいほどのきらきらした笑顔で、あの子は、不老不死の私に差し出してきた。
「私、日数とか年数とか気にする次元を超えてるんだけど」
今でさえ、この世に生を受けてから100年近く経っている。いちいち時を数えるのも冷めるというものだ。
「そうじゃなくて!ここに、たくさん予定を書いて実行していくの。予定を考えてるだけで楽しいだろうし、毎日も充実するよ!」


そう言われてから、もう500年が経った。相変わらずこの体だけは全く変わらない。私に唯一笑いかけてくれたあの子は、ずっとずっと昔に死んだ。
カチリとペンをノックして、500日目の予定を考える。
『首を吊ってみる』と書いた。
やっぱり全然楽しくない。

9/11/2023, 12:53:36 AM

貴方の決意に、何と言えばいいのか分からなくて。
ただ二つ、言うことがあるとすれば。
貴方に、生きてほしかった。
大好きです。

9/7/2023, 5:28:38 AM

「余命1年です」
私は、ご家族の前でその時を告げた。
本人の少女は、ナースステーションの近くにあるプレイルームで遊んでいる。
無機質で何もないこの部屋で時を告げるのは、一体何度目だろうか。
「…もうあの子は、助からないんですか?」
少女の母親が、震える声で聞いた。父親は覚悟をしていたのか、それでも苦しそうに目をきつく閉じている。
「…まだあと1年くらいは、時間があります。ですが…」
言葉が詰まる。何と言えばいいのか。
一つため息をついて言った。
「明日、何かない保証はありません」
そう言った時、この無機質な部屋を唯一飾り立てていたアンティークの掛け時計が、ぽーん、と時を告げた。

9/5/2023, 9:57:16 AM

恋をした。
そうしたら、周りの景色がガラスや透明なものを通して見ているみたいに、きらめいて見えた。
きらきらきらきら。何だっけ、この感覚。
…ああ、思い出した。遊園地のメリーゴーランドだ。
きらきらきらきら。馬に乗って、きらめく電飾の中を巡っていく。一周したら、馬の上から見える景色は同じなのに、なぜだか飽きずに首を回して同じ景色を見る。
それとそっくり。いつも見ている景色なのに、こんなにきらめいて見えるなんて。
恋はメリーゴーランドみたいな幻想かもしれないけど、悪くはないかもしれない。

9/3/2023, 9:37:30 AM

明日は何時に起きようか。
明後日は何をしようか。
その次は何を食べて、その次はどこに行こうか。
暗い場所で、小さな蝋燭の灯火が灯る。
希望とは、生きているということ。
光の見えない心の中で、ぽつぽつと灯火が灯るということ。

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