#ないものねだり
「幸せすぎ、今すぐ死にたい」
「いやすぐ死のうとするなw」
この会話何回したんだろう。
私の口癖だった。あんまり現実を生きるのが得意じゃなかったけど、君が好きだから君といたらとても楽しかった。君のとなりにいるの君が思ってるより結構、いや、とても好き。私が隣じゃ無くなる日が来たら嫌だから、その可能性がなくても、今私が幸せって本気で思っている瞬間死にたいって思ってた。
けどおかしいなあ、きみといたから死んでもいいって思ってたのに、きみと空を飛んだはずなのに地上に引きずり落とされているこの時間はもっと君といきたいって思ってしまった。
この時間だけでも少しでも長く続いたらいいのに。
#特別な夜
夜ってそんなに好きじゃなかった。
明日来るんだって怖くなるし、ずっと続きそうなフリして朝がやってくるから。
夜の静けさが初めは落ち着いて、自分1人の世界で生きていけるって思えるのに、深夜になると私だけしか起きてないんじゃないかって本当にひとりなのかなって思ってしまう。
けど最近嫌いじゃない。
明日が来るのも怖けど、ずっと夜ならいいのにって思うけど、1人になるのも多分怖いけど
この静けさも夜の長さも君に会えると思ったら、緞帳が上がる前のステージのように思えるから。静かに待っていようって思えるようになった。
#海の底
君に想いを寄せているなんて自分が1番信じられなかった。
いっつも若干トゲのある言葉でいじってきて、笑ってくる。でも何故か嫌じゃなかったから、負けじと反撃して、笑いあっていた。
でも気を使っていないに気を使うのが上手くて、誰にも態度を変えずにいられる。誰とでも仲良くなれる。そんな君が心底羨ましかった、し羨みながらも隣にいることが結構嬉しかった。
雰囲気いいけど、どこかアンニュイで、お姉さんだけど、小学生よりガキって感じ。
対する私は
冴えなくて、人によってコロコロ態度変えて、せめてなにかできるように、って頑張るけど頼りない。
君とは正反対、考え方も同じだったことの方が少ない。
なんで惹かれたのか分からないけど、気がついたら全部好きだって思った。
恋だと仮定したら、解になってしまった。
でも君に恋してるって結構過酷で、同性にモテるような性格の君だから、勝手にそわそわするし、まず私が気持ちを伝えて、君が受け入れることなんてないと思うから、君の全てに勝手に一喜一憂して。なかなか辛い恋してしまった。
こんな恋ならしたくなかったって思いたいけど、君のこと好きすぎてそんなことを考えるのすら辛すぎる。
だからいっそ君への想いごと私自身が海底に沈んでしまえばいいのに。と思う。
青く暗い世界で君のことをおもっていたい
#理想郷
自分は本当に頭の悪い人間だな、と思った。
みんなとバカやっているのが好きだった。
みんなとただ毎日話しているのが好きだった。
みんなで食べるご飯が好きだった。
でも自分はきっと、君がいる空間が好きだった。
ずっとそれに気が付かないまま月日がすぎた。
それが気づいたのは、
みんなとバカやってるのが懐かしくなった頃だった。
みんなと毎日話すことが当たり前じゃなくなった頃だった。
みんなとご飯を食べるのが特別になった頃だった。
ずっと近くにいたのに気が付けなかった。
遅すぎる頃にやっと気がついた。
歳をとって、当たり前が減って、感情を知ったからだろう。
君といる時間がとても好きだった。
君のことが本当に好きだった。
これ以上気持ちに気がついてしまったことが最後だった。
どこかで、初恋は、決して結ばれることの無いせつない恋だと聞いたことがある。
それが本当なら、これは私の初恋だった。
気がつくんじゃなかった。
気がつきたくなかった。
伝えてはいけなかった。
きっと気がつくまでの楽しかった日々は理想郷だったのだ。
#本気の恋
15回目の春、私は恋をしてしまった。
同い年だけど16歳の君に。
小学校と中学校は一緒で、高学年の頃から中学3年間ずっと一緒にいた君に恋をした。
高校は離れても1番遊びに行ったし、通話もした。
離れてから好きに気づいて、会う度に好きになっていく。
私には、高嶺の花すぎる君に思いを寄せてしまったから。
私は、絶対に叶わぬ恋をしてしまったから。
思いを伝えてしまったら、もう隣にいられないから。
私は君に思いを伝えない。
絶対に隠し通す。
どんなにこの恋が鮮やかな色に染まろうが、黒く塗りつぶされそうになろうが、誰にも見せない。
それが、私が同性の友達にした
一生続く。
一生続ける。
本気の恋。