しーな

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2/4/2023, 12:18:00 PM

ここは教室。一人一人、テストの解答を受け取りに教卓の方に行っている。

反応は人それぞれ。

無表情のまま来る子もいるし、落ち込んでる子もいるし、喜んでる子もいる。


「次」

あ、私の番だ。

椅子を引いて立つ。

左側の通路にでて、教卓まで行く。

一つまでの席の男の子が戻ってきていた。

すれ違うときに。


「__________ふふっ」

どこからか、笑い声が聞こえた。

「うわっ!」

私の前に、さっき言った男の子の顔面があった。

どうやら、笑った子が男の子を転ばせたらしい。

よくある、通路に足を出すやつだ。

その勢いのまま、私の顔に男の子の顔が直撃する。

そのまま後ろに倒れる。

頭に衝撃はほとんどなかった。

男の子が頭を支えてくれたらしい。

最終的に、男の子が私を床ドンする形になった。

教室はシーンとしている。

男の子が我に帰ったのか、いきなり私の前から退いた。

「大丈夫...?」

「あ、うん、大丈夫。頭打ってないし。」

「...そ」

そっけない態度を取られた。

もしかしたら照れ隠しかもしれない。

男の子は自分の席に戻った。

周りからの視線が私の顔に刺さる。

いつまでもこうしてたらいけない。

立って、自分の席に戻った。

先生は何も言わずに、また「次」とテストの解答を返し始めた。

さっきの出来事を振り返ってみる。

笑い声。

からの、男の子の顔面直撃。

そのまま後ろに倒れる。

床ドン。

男の子はどいて、そのまま私も席に戻る。

うーん。

んー?

ん....!?

顔面直撃...!?

あ...あ...........!

キ、キス.........!!!

しちゃったよ..........!!

2/4/2023, 3:15:38 AM

30xx年

「ねえねえ、知ってる?ずっと前の、機械時代!」

「うん、知ってるよ」

「あのねあのね、機械時代ってね、今とは違って、「電気」っていうもので色々動いてたんだって!」

「でんき?」

「今って、私たち魔力を使った魔道具でいろいろ動いてるでしょ?照明とか、洗濯とか、移動のワープとか、通話機とか、映像模写とか。だけど、機械時代は魔力がなかった、いや、なかったわけじゃないんだけど、見つかってなかった、っていう言い方がいいのかな。だから、電気っていうまた別の動力を使って色々動かしてたんだって。」

「へー」

「えーなんか興味なさそうなんですけどー」

「いや、まあまあ興味あるよ、機械時代のこと」

「あー、そうなんだ?」

「うん。調べたことあるし」

「なのに電気は知らなかったんだ?」

「...別のこと知ってるし」

「何知ってるの?」

「えっとね...機械時代の人たちは、みんな勉強してたんだって。今って生まれてすぐに基礎知識のメモリを脳の中に流すんだけど、機械時代の人たちはそういうのがなかったから、自力で知識をつけていってたらしいよ」

「へぇ、すごいね!機械時代の人!知識を自力でつけるって、どうやるんだろう」

「問題解いたり、大人に教えてもらったりして知識をつけていったらしい。しかも、子供はほとんど知識をつけるために学校に行ってたらしい。魔力の使い方を教える学校じゃなくて、知識を教える学校ね」

「へぇ、大変そうだねー。今は子供のときは魔力を伸ばしたり、魔力の使い方、魔法を覚えたりするけどね。魔力の使い方はメモリに入ってるけど、感覚はメモリにないから、1人1人教えなきゃ使えないからね」

「あと、機械時代の人たちってすごいんだよ。体の構造とか、地球の仕組みとか、宇宙の仕組みとか、歴史とか、そういうのが研究されて今に生かされているところもあるからね。お薬とかも機械時代の人たちが研究したらしいよ」

「機械時代の人たち、めちゃめちゃすごいじゃん!」

「そうなんだよね。僕たちが使っている文字は、機械時代より前の人たちが作ったけれど、安定させたのは機械時代の人たちなんだよね。だから、各家に【1000年後の孫たちへ】の手紙があるでしょう?その字が今も使われているんだから、すごいよね。しかもその内容も。今の私たちじゃあ思いつかないような技術が書いてあるんだよね。」

[生徒の皆さん、魔力の使い方の講座がまもなく始まります。自分が受ける講座の教室へ移動してください。なお、生徒の皆さんが一斉に移動するため、胸元にあるワーク石の処理スピードが遅くなる可能性がありますので、十分お気をつけてください。]

「...長いよね。聞き飽きたのことアナウンス!」

「わかる。けどテンパらないよりはいいよね」

「まあそうだけどさ」

「じゃ、行くか」

「うん!」

             1000年先も

2/1/2023, 11:38:59 AM

ブランコを漕いでいる時の感覚は忘れられない。
もう漕ぐことはないが、あの感覚は鮮明に覚えている。
頂点に達したときの浮く感覚。
勢いよく前後移動するときの風。
この2つが、ずっと僕の中にある。
無意識に足に勢いをつけて、どんどん景色が高くなっていくときの恐怖。
前に飛ばされるのではないかという恐怖。
これらもずっと、僕の中にある。

あの感覚を、もう一度味わいたい。

公園にあるようなブランコでは、もう僕の体は大きくなっている。
どこかに大きなブランコはないものか。
ないとは言わせない。
覚えていても、いくら鮮明に覚えていても、実際にやるのとでは天と地の差くらいに違うものだ。
もう一度漕ぎたい。
あの感覚を、もう一度。

             ブランコ

2/1/2023, 7:12:35 AM

旅が好きな人のことを、僕は理解ができない。
旅を続けていると、最後に何が残るのだろうか。
友達。
経験。
体力。
知識。
これらが残っても、僕には必要がない気がするのだ。
友達なら少なくてもいい。
経験だって、旅の経験なんてどこで役立つのだろう。
体力はジムに通ったり川沿いを走ったりすればいい。
知識はネットで調べたり本を読んだりしてつければいい。
僕は、旅は時間を奪うものだと思う。
だから、僕は旅が好きな人のことを理解ができない。
けれど、旅をしている人に
「なぜ旅をしているのか」
と聞くと
「好きだから」
と言われる。
この「好き」という理由だけで旅を続けているのだ。
悪く言えば、ただの自己満足。
自己満足したいから旅をする。
やっぱり僕には理解ができない。

             旅路の果てに