しーな

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30xx年

「ねえねえ、知ってる?ずっと前の、機械時代!」

「うん、知ってるよ」

「あのねあのね、機械時代ってね、今とは違って、「電気」っていうもので色々動いてたんだって!」

「でんき?」

「今って、私たち魔力を使った魔道具でいろいろ動いてるでしょ?照明とか、洗濯とか、移動のワープとか、通話機とか、映像模写とか。だけど、機械時代は魔力がなかった、いや、なかったわけじゃないんだけど、見つかってなかった、っていう言い方がいいのかな。だから、電気っていうまた別の動力を使って色々動かしてたんだって。」

「へー」

「えーなんか興味なさそうなんですけどー」

「いや、まあまあ興味あるよ、機械時代のこと」

「あー、そうなんだ?」

「うん。調べたことあるし」

「なのに電気は知らなかったんだ?」

「...別のこと知ってるし」

「何知ってるの?」

「えっとね...機械時代の人たちは、みんな勉強してたんだって。今って生まれてすぐに基礎知識のメモリを脳の中に流すんだけど、機械時代の人たちはそういうのがなかったから、自力で知識をつけていってたらしいよ」

「へぇ、すごいね!機械時代の人!知識を自力でつけるって、どうやるんだろう」

「問題解いたり、大人に教えてもらったりして知識をつけていったらしい。しかも、子供はほとんど知識をつけるために学校に行ってたらしい。魔力の使い方を教える学校じゃなくて、知識を教える学校ね」

「へぇ、大変そうだねー。今は子供のときは魔力を伸ばしたり、魔力の使い方、魔法を覚えたりするけどね。魔力の使い方はメモリに入ってるけど、感覚はメモリにないから、1人1人教えなきゃ使えないからね」

「あと、機械時代の人たちってすごいんだよ。体の構造とか、地球の仕組みとか、宇宙の仕組みとか、歴史とか、そういうのが研究されて今に生かされているところもあるからね。お薬とかも機械時代の人たちが研究したらしいよ」

「機械時代の人たち、めちゃめちゃすごいじゃん!」

「そうなんだよね。僕たちが使っている文字は、機械時代より前の人たちが作ったけれど、安定させたのは機械時代の人たちなんだよね。だから、各家に【1000年後の孫たちへ】の手紙があるでしょう?その字が今も使われているんだから、すごいよね。しかもその内容も。今の私たちじゃあ思いつかないような技術が書いてあるんだよね。」

[生徒の皆さん、魔力の使い方の講座がまもなく始まります。自分が受ける講座の教室へ移動してください。なお、生徒の皆さんが一斉に移動するため、胸元にあるワーク石の処理スピードが遅くなる可能性がありますので、十分お気をつけてください。]

「...長いよね。聞き飽きたのことアナウンス!」

「わかる。けどテンパらないよりはいいよね」

「まあそうだけどさ」

「じゃ、行くか」

「うん!」

             1000年先も

2/4/2023, 3:15:38 AM