言霊。
口に出せば、それは叶うというもの。
夢、望み、目標。制限はなく、それは無限に叶う可能性を秘めている。
心の内側で渦巻き続けるこの愛の念も、口に出せば叶うだろうか。
声を大にして叫びたい。この世界のどこにいても君に届くくらいに、大きなこの愛を叫び出したい。
そうすれば、遠く離れた君との恋も、叶うのだろうか。
思い出すと、いつも後悔の念に悩まされる。
ああ、あの時どうしてあんなことをしたのだろう。
もっと別のやり方があったのではないだろうか。
ああ、あの時どうしてあんなことを言ったのだろう。
もっと別の言葉があったのに。
後悔しても消えない過去。後悔しても変わらない。
ならばせめて、あの瞬間を忘れないようにしよう。
二度と同じ過ちを犯さぬよう、戒めとして心に残そう。
忘れられない、いつまでも。
海辺を通るバスの中、夕陽が水に溶け込むのを見て、ふと初恋の日を思い出す。
私の初恋は、幼稚園の頃だった。いや、今となってはあれが恋なのかすらわからない。もしかすると、ただ家が近いのが珍しくて、その希少性からくる親近感のような好意、だったのかもしれない。あるいは、周りの子達は今考えるとかなりませていたようで、私の曖昧な気持ちを恋だと思い応援されていたことによる勘違いかもしれない。
それでも、少なくとも相手のことは友達として好きだったことは間違いない。園では無口だけど、家で遊んだ時は普通に笑うし普通に喋る。そんなギャップが、幼いながらに可愛いとでも思っていたのだろう。
そんな可愛らしい恋をしていた私も、成長するにつれてその心を失ってしまった。小中高全てで恋はしていたはずなのだが、その全ての結末は「恋とは何か」で失恋。
「恋」はどんな感覚なのかわからず、長い間迷走している。そして、今日も。
あの頃の純粋な恋心は、あそこに沈みゆく太陽のように消えてしまった。それでもいつかは昇ってくると信じて、今日もまた、帰路に着く。
トンネルを通る時、
地震が来て崩れるともう助からないので、
地震なんて来ませんようにと、願う。
古い橋を渡る時、
中間部で折れてしまいませんようにと、願う。
森を歩く時、
熊や猪が現れませんようにと、願う。
海に入る時、
サメが襲ってきませんようにと、願う。
人はおそらく、突き詰めればいつだって、
あらゆるものに生を願う。
だからもし、明日世界がなくなるとしたら。
私はきっと、世界が明日も存続することを願う。
朝起きたら、まずスマホを開いてメッセージを確認するようになった。
家を出る時は、必ず同じ時間。君と会える時間を狙って出る。
学校に着いたら、遠回りになるけど君の席を横切って自分の席に着く。
君と出逢ってから、私の生活は劇的に変化した。
何もかもが君中心に回っている。
そして今日も、君中心に私の世界は動き続ける。