ただ君だけのために、俺は何でも出来た。
痛いことも怖いこともきついこともつらいことも悲しいことも、何だって。
そうしてやっと、君の願いを叶えてあげられたのに、君はどうしてそんな顔をする?
まるで、俺を怖がるような。
まるで、俺を軽蔑しているような。
何でだよ。何でだよ。何でだよ。何でだよ。
笑えよ。泣いて喜べよ。
俺は全部君のためにやったんだぞ?君は願いが叶ったんだぞ?
なあ、そんな顔するなんて、そんなの、おかしいだろうが。
ほら、笑えよ。笑ってくれよ。
何を言っても、君の顔は晴れない。俺の望んでいた表情にはあまりに遠い。
そして、君は小さく、ごめんなさいと一言残して、俺の前から姿を消してしまった。
あああああああああああああああ。
俺の喉から獣のような声が湧き上がり、視界は揺らぎ、涙がとめどなく溢れる。
許さない。許せない。
俺には君だけ。ただ君だけだったのに。
私は選ばれた。次の時代に旅立つ、ノアの方舟計画の対象者に。
戦争で世界は荒れ、環境は破壊され、地球はもう長くはない。
遠い惑星を次の安住の地とする夢を見た人類は、宇宙船“ノア”で星を渡る『ノアの方舟計画』を立案した。
私はあらゆる試験に勝ち残り、その限られた対象者の1人として、“ノア”に乗る。
真面目に勉強し、真面目に生き、決して悪いことはしなかった。他人からはつまらない人生だと言われたこともある。しかし、私はそのつまらない人生のおかげで、この計画の対象者になることができたのだ。人生とは面白いものだと思う。
今、私の目の前には高さ2メートルほどの半透明の青色のカプセルが見える。対象者はこのカプセルの中に入り、コールドスリープの状態で自動運転の“ノア”に乗り、目が覚めたら目的の新天地へ着いている、という計画だ。
私は、事前に飲む薬をゴクリと飲み込み、身体にピタリと張り付く特別なスーツを着て、カプセルへ入り込んだ。
大仰な音を立ててカプセルが閉まる。
この“ノア”は未来への船。
次に目が覚めたとき、私は希望の未来へ辿り着いているはずだ。
新天地と、そこで始まる新たな日々への期待を胸に、私は静かに目を閉じた。
これは戦争だ。
「偵察班、敵の動向は!?」
「こちら偵察班、敵は川辺を南下してきていると思われます!」
「よし、総攻撃をしかけよ!」
「総員!出撃!」
ざわりざわりと森がざわめく。ブンブンと言う羽音。落ち葉の中をかさかさと進む気配。鳥は高く飛び、森中の動物たちが忙しなく動き回っている。
これは、ヒトから静かなる森を守るための戦いだ。ヒトに荒らされようとしているこの森を、皆で力を合わせて守るのだ。
静かなる森へ――。この森に住む生き物達の思いは今、1つになっていた。
夢を描け 後日書きます
届かない...... 後日書きます