空に向かって、ぐんぐんぐんぐん伸びていく。眩しい太陽を目指して、成長していく。
たぶんいつか限界が来て、太陽との間にはどうしたって届かない距離っていうのが分かってしまうんだろう。それは知ってる。
それでもぼくは、空に向かって、太陽を目指して、背を伸ばす。伸びてく自分が嬉しいから。太陽に近づくのが楽しいから。いつか成長しきって、枯れてしまう日が来ても、もっと伸びたかったって後悔したくないから。
今日もぼくは、空に向かって、ぐんぐんぐんぐん伸びていく。
はじめまして 後日書きます
またね! 後日書きます
(工事中)
地方ニュースで桜満開の報が流れた翌週末、俺は1人で桜並木を歩いていた。毎年桜が咲く時期に訪れている場所だ。
今年は満開の時期を逃し、少し緑が混じっているものの、薄紅色に染まる並木は美しかった。時折風が強く吹いて、一層美しく花弁が舞う。ゆっくりと歩きながらそのさまを眺めていると、花弁に交じって、ひらりと四角い布のようなものが宙を舞っていることに気がついた。それはこちらに向かって飛んでくる。よく見ればそれはハンカチのようだった。俺の頭上までやってきたとき、俺は反射的に手を伸ばしていた。
そのハンカチは、白い四角い布の周りに、控えめな薄紅色のレースがあしらわれ、角に1つ、桜の花と思われる刺繍が施されていた。なんだか上品な印象を感じさせる代物だ。
不意に視界が歪んで、私は、慌てて立ち止まり、顔を上向ける。
目に飛び込んできた満月はくっきりと眩しいくらいに存在を主張していたけれど、次第に歪んでぼやけてハッキリしなくなる。眉を顰め、目元に力を入れて耐えていたけれど、遂にポツリと頬を雫が伝って、少しだけ視界がクリアになった。一度目から溢れてしまえば、あとは簡単で、次から次へと雫が頬を落ちていく。
泣きたくなんかないのに。
好きだった人が、今日会社を辞めていった。
結婚して、相手の実家に近いところへ引っ越すのだと言う。
私は笑顔であの人を見送って、我ながら上手くお祝いできたと思っていたのに、独りになった途端にこれだ。
何で涙なんて出るんだろう。
あの人は幸せそうだったじゃないか。
相手だってすごく良い人そうで、きっとこれからも幸せでいられる。
あの人を幸せにするのは私じゃなかった、ただそれだけの話。
第一、私は1年も前に『恋人がいるから』って振られたじゃないか。それでもう諦めたはずじゃないか。
どんなに理屈を並べても、涙は全然止まってくれない。
私はただその場で、頬を伝っていく雫はそのままに、感情の波が過ぎ去るのを待つことしかできなかった。