ミキミヤ

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12/30/2024, 4:05:54 AM

冬に暖かい部屋で食べるみかんって、なんであんなに美味しいんだろう。

橙色の皮を剥いて、現れた果肉を口にほうり込む。噛めば薄皮が弾けて、ジュワリとした果汁が口の中に広がる。乾燥した空気に乾いた喉に、うるおいが染み渡る。甘酸っぱくて、美味しい。

机の上の籠の中には、みかんがたくさん積んである。1個食べ終わった後には、そこへまた手が伸びて、2個、3個と食べ続けたくなる。

そんなふうに過ごしていたら、気づいたら手が黄色っぽくなっている。周囲の人に言われて「あー、みかん食べすぎた!」って言って笑う。

冬のみかん、そこまで含めて美味しいというか、幸せ、なんだよなあ。

12/29/2024, 8:47:55 AM

年末は、なんだか寂しい感じがして好きじゃない。大掃除だ、正月準備だと忙しないのも嫌だ。

お正月は好きだ。10時くらいまで寝てても誰も文句言わないし、美味しいお餅がたくさん食べられる。俺は特にきな粉餅が好きだ。

お正月が終わっちゃうと、何だか憂鬱になってくる。もうすぐ学校が始まるからだ。学校で友達に会えるのは嬉しい。でも、冬休みの宿題ってやつが厄介なんだ。冬休みの期間は短いから、夏休みほど大量に出るわけではないけど、あるものはある。俺は、宿題にはギリギリまで手を付けないたちだ。最後の数日で慌ててやるのがいつものこと。夏休みの最後の3日間はいつもヒーヒー言っている。今回の冬休みも、正月が終わってから手をつけることになった。

「あんた、毎回大変になるのわかってるんだから、次からは毎日コツコツやりなさいよ」

俺が宿題を必死にこなす脇で、母ちゃんが言う。
そんなのわかってんだよなあ。でも、毎回こうなっちゃうんだよなあ、俺。どうにもこういうヤツなんだよなあ。
宿題が終わらない焦りと、この事態を引き起こしたどうしようもない自分への憂鬱と。
俺は母ちゃんへ、返事の代わりにため息で返した。

12/28/2024, 8:44:51 AM

ガードレールの端っこに、片手分の手ぶくろが置かれている。いや、置かれているというか、刺さっているというか、立っているというか、そんな感じだ。
誰かが落としていったものを、通りかかった人が分かりやすいようにそうしたのだろう。

「ガードレールが手挙げてアピールしてるみたいだね」

信号待ちをしながら向かい側のガードレールの手ぶくろに気を取られていた俺に、隣に立つ彼女が話しかけてきた。
ガードレールが手を挙げている、確かにそう見えなくもない。

「お前の片割れはここにいるぞーって、落とされなかったもう片方へアピールしてるんだよ。迎えに来てくれるの、待ってるのかも」

彼女の話し方は、ものに感情移入しているようで面白い。俺は単に、人間があそこへ手ぶくろを置いた意図しか考えていなかった。

「ここで待ってても迎えは来ないと思うけどなあ」

虚しく手を挙げている手ぶくろを見て、俺は言った。
だいたいの手ぶくろはああなってしまったら、誰にも迎えに来られずに、雨風にさらされてボロボロになって、いつの間にかどこかに行ってしまうものだと思う。
彼女は俺の意見に不服なのか、少し頬を膨らませた。

「優しい持ち主さんがきっと、もう片方を連れて現れるよ。私はそう信じたいな」

離ればなれになってしまった一対の手ぶくろ。ガードレールの端で存在を主張するあの手ぶくろが、片割れと再会できたら。
彼女の話をきいていたら、俺も、そんなハッピーエンドが少し見たくなってきた。

信号が変わる。あの手ぶくろへ近づいて、通り過ぎる。その時、どうか片割れと再会できますように、と少し祈ってみた。

12/27/2024, 8:34:32 AM

数十年の人生の中で、『変わりたくない』『変わらないでほしい』と願うものにほど裏切られ、『変わらないものはない』と思い知らされてきた気がする。そういう時『変わらないものはない』ことは絶望だった。
一方で、暗い絶望の底に沈んだときには『変わらないものはない』ことは希望だった。ずっと落ち込んでつらいままであることはない、いつか必ず光の中に戻れるのだと。

『変わらないものはない』ことを絶望とするか希望とするかはきっとその時の自分次第なんだろう。

12/26/2024, 9:16:48 AM

クリスマスの過ごし方 後日書きます

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