桜井呪理

Open App
9/23/2024, 9:53:06 PM

この世界は音で溢れている。

そんな常識誰でも知っている。

そんな常識がある日、覆った。

私はある日、倒れてしまった。

原因は分からない。

急に視界が真っ白になって、気づいたら白い部屋にいた。

ただそれだけ。

なはずだったのに。

その日から私の世界は、止まってしまった。

音のない世界に私だけ取り残された。

そんな気がしてたまらない。

最近では、だんだん頭も真っ白になっていくように、記憶さえも音と一緒に消えていく始末だ。

なんで私だけ。

置いてかないでよ。

泣きそうになる私の部屋に、一筋の風が吹き抜けた。

カレがきたんだ。

そう気づいた。

やあ。

笑いながらカレはそう呟く。

カレをみて、溢れそうな涙が溢れる。

カレは小さな手で撫でてくれる。

大好きなカレ。

カレの声が聞けたらいいのに、。



ある日私は手術をすることになった。

失った聴覚の部分を提供してくれる人が見つかったらしい。

しかも両耳だ。

カレにそのことを話すと、笑って喜んでくれた。

でも

その顔が少し憂いた顔に見えたのは、気のせいだろうか。




手術が終わった。

世界に色がつき、音が戻っていく感覚に安堵しながら、彼の所に向かった。

カレの病室に行く。

ドアを開ける。




カレは居なかった。

困惑しながら、カレのベットを見ると、小さな手紙が置いてあった。

手紙を開ける。


ごめんね栞菜ちゃん
ずっと君と一緒に居たかった
僕は病気だったんだ
君の聴覚を提供したのは僕なんだ
音で溢れる世界で、笑って生きてね
悠人より

涙が溢れた

カレには会えない。

そんな絶望が押し寄せた。

でも

カレは笑って生きてと願っている。

なら私は笑って生きよう。

そう誓って窓の外に耳を澄ました私に、カレの拙い歌声が



聞こえた気がした

9/4/2024, 11:49:02 AM

煌めく星空

あの中の一つにきっといる

会いたいな





君に

9/1/2024, 11:16:19 AM

僕は売れ残り。

僕にも家族はいた。

海の生き物たちと心を交わすことが得意だった僕のことを、母はちっとも否定しなかった。

でも

そんな母はもういない。

重い病にかかり、あっけなく逝ってしまった。

僕を気味悪く思っている村の人は、僕を引き取ってくれなかった。

だから僕はここにいる。

僕は人の言っていることを理解するのが苦手。

僕は不完全らしい。

一緒にいたみんなは、嬉しそうに売却済みの札をもらい、いつの間にかいなくなった。

僕だけ、

僕だけが 不完全体売れ残りの札が剥がれない。

だから僕はここにいるんだよ。

僕はそう、池の魚につぶやいた。

この池は海に繋がっているらしい。

僕の話を真剣に聞いていた魚は、キラキラと光る、魚の尾ひれのようなものを僕に渡した。

また何かくれるの?

この前は虹色のビー玉二つだったよね。

そう小さく呟く。

魚は口を開き

一緒に行きましょう。

とつぶやくように、僕に近づいた。

なんとなくいうことがわかった。

魚のくれた尾ひれのようなものを履く。

そして

虹色に光るビー玉を、目に差し込んだ。

目が痛む。

目を瞑る。

そのまま

池に飛び込んだ。

目を開ける。

そこには、美しい人魚となった魚と僕がいた。

人魚は言う。

あなたが幸せだった時。

あなたはわたしを助けてくれた。

一緒に海の果てに行きましょう。

今度ははっきりと聞き取れた。

人間として不完全な僕でも、人魚としてなら、幸せをもう一回得られるかもしれない。

僕はそう思った。





この日

ある一人の少年が空に旅立ち、

二人の人魚が、海の底へ、潜って行った。

8/25/2024, 11:52:45 AM

君と向かい合わせになる。

僕は君に微笑みかける。

君は、僕に微笑み返す。

その笑顔のまま、君は僕に向かってくる。

と思った。

君は僕めがけて

近づく

近づく

触れる


わけなかった

僕の体は透けて

君をすり抜ける

ねえ

誰か気づいて

ずっとそう願ってきた

君なら見えるかと思ったのに

なんで消えれないんだろう

「だれか気づいて
 助けてよ、、、、、、、、」

そう呟いて流した涙は

君に触れることもなく

すっと



空に溶けた


8/22/2024, 10:05:52 AM

大好きの裏返し

いくら探しても嫌いが見つからない

もう嫌いになれたらいいのに

そうしたら離れるのも辛くないのに

離れなきゃ

離れなきゃ

そうじゃなくちゃ

彼女はもっと悲しむことになる

離れなきゃ

突き放さなきゃ











僕が死ぬ前に

Next