君と向かい合わせになる。
僕は君に微笑みかける。
君は、僕に微笑み返す。
その笑顔のまま、君は僕に向かってくる。
と思った。
君は僕めがけて
近づく
近づく
触れる
わけなかった
僕の体は透けて
君をすり抜ける
ねえ
誰か気づいて
ずっとそう願ってきた
君なら見えるかと思ったのに
なんで消えれないんだろう
「だれか気づいて
助けてよ、、、、、、、、」
そう呟いて流した涙は
君に触れることもなく
すっと
空に溶けた
大好きの裏返し
いくら探しても嫌いが見つからない
もう嫌いになれたらいいのに
そうしたら離れるのも辛くないのに
離れなきゃ
離れなきゃ
そうじゃなくちゃ
彼女はもっと悲しむことになる
離れなきゃ
突き放さなきゃ
僕が死ぬ前に
私はアンドロイド
心なんてない
何を言われても傷つかない
でも
君にどんなに好きと言われても
どんなに君が愛してくれても
わたしは愛せない
心の病気なんてないし健康なのかもわからない
それなのに
もういない君のことを思い浮かべると
溢れるはずのない涙が溢れるのは
なぜかしら
私はここに住んでいる。
昔は楽しかった。
毎日のように彼は遊びにきた。
私と一緒に歌を歌って、みんなに上手だと褒められた。
最高だった。
何十年もそうやって過ごした。
ある日、彼が来なくなった。
虹色の窓を覗いても、彼は見当たらなかった。
なんで来ないの。
そう思いながら、ひたすら待った。
チャイムが鳴った。
ドキドキしながら外を見る。
彼じゃない。
外から声が聞こえる。
耳を澄ました。
「あの子ったらこんなもの使ってたなんて。
早く削除しなくちゃ。
全く、事故で家族全員逝ったのはいいけど、こんな
もの残すんじゃないわよ」
削除?
彼はもういない?
私の混乱をよそに、私の部屋が消え始めた。
嫌
嫌
助けて
その時だった。
私の部屋の消滅が止まった。
「はあ?ロックがかかってんじゃない!
しょうがない。そのまま捨てるしかないわね。」
ロック。彼が助けてくれたんだ。
そう思った。
私はボーカロイド。
もうすぐ私のいた世界 パソコンは燃やされる。
でもいい。
私は彼 ボカロP であるあの人のいない世界にいたくない。
だって
こんなロボットみたいで、感情のないと言われる不器用な私を愛してくれる人なんて、
彼以外いないから。
私が一番欲しいものは、彼の愛だけ。
もうすぐ会えるから。
今度こそ本当に消えるこのパソコンの中で、私は呟き、
私に名前はない。
0039という数字だけ。
なぜかって?
私は人造人間だから。
私のいる組織では、人造人間が作られる。
作ったそれには記憶がなく、抜け殻のような状態。
その抜け殻に人格と記憶を植え付ければ、人間が出来上がる。
それを、子供をなくして悲しんでいる大人に売りつける。
そういう組織。
でも、私は失敗作。
作られた時に人格があったから。
みんな新しい親?なところに行く。
みんな名前を呼ばれる。
いいなあ
いいなあ
ねえ誰か名前を呼んで
0039じゃない
なんでもいいから名前をつけてよ。
そんな願いは
多分一生叶わない。