天の川の下
愛を叫ぶ
この世ならざぬ君にも
会える気がする
そんなわけないのに
彼女が死んだ
僕のせいで
僕は拳銃で死のうとした
それなのに
手が震えた
銀色の玉は
彼女の額を
突き抜けた
僕らは殺し屋
親のいない僕らは
ここにきて
恋を知った
ここから逃げたい
でも
逃げられない
だから
死のうとしたのに
僕も
彼女を追いたい
拳銃を額に当てた
手が震える
まだ、彼女のところに行くのは許されない
きみに会える日がいつかは
神のみぞ知るのだろうか、
窓から見えるきみの横顔
美しい
美しいのに
きみは気づいてくれない
僕は死人
墓にある小さな窓から
きみを見つめる
気づいて
気づいて
触れたい
触れたい
きみの心の臓まで食らいたい
僕のことを見てくれないきみは嫌い
そうして
きみの首筋に
僕は噛みついた
夏のお彼岸の日。
此岸と彼岸が近づく日。
もういない大好きなあの人も、この日だけは、やってくる。
でも
気をつけなきゃだめだよ。
死者と共に、招かざれぬものも
やってくるから。
生者を食らう恐ろしい怪異。
ほら
あなたのすぐそこに、、、
いつも通りに起きたら、愛する人がいる。
愛する人の笑っている顔が見られる。
僕はそんな日常が気に入っていた。
ずっと続くと思っていた。
僕はみんなとは違う。
見えてはいけないものが見える。
お化けみたいなそれを、やっつけるのが僕の仕事だった。
ある日、愛する人が難病にかかった。
余命一ヶ月。
僕はそれがお化けのせいだと知っていたけど、言わなかった。
いえなかったんだ。
ある日彼女が、僕を呼び出した。
余命残り一日になった日だった。
彼女は思い詰めた顔をしていた。
寿命が尽きるのが怖いのかと思ったが、違った。
逃げて。
彼女はそう言い放った。
遅かった。
僕はそう思った。
彼女は、取り憑かれた霊に生気を吸われて死ぬのだと思った。
違う。
彼女は取り憑かれていた。
僕はすぐに彼女についていた霊を、死に物狂いでやっつけた。
でも、彼女の寿命はもう尽きていた。
このままだと彼女は1人彼岸に行くことになる。
そんなの嫌だ。
僕はそう思った。
僕は不思議な場所を知っている。
それは、大きな穴だ。
この穴に落ちたものは、生者でも死者でも、悲願送りになってしまう恐ろしい穴。
僕はそこに、彼女もろとも落っこちた。
なんとか口を開けた少女が言う。
死なないで。
大丈夫だよ、とぼくは微笑む。
きみを1人にはしない。
そう言って、僕らは真っ暗な穴の中に、落ちていった。