「ねえ、君は今、何を考えてるの?」
「何も」
「ふうん。」
彼は何を考えているのか、全くと言って良い程分からない。
何処か遠くを見たと思えば、ふらっとその場からいなくなるし、感情も生まれた時に置いてきたとでも言うように、何時も真顔で。
…好きな人には笑って欲しい。勿論、笑わせられるよう努力はしているが、やはり真顔のまま。
「私はね、君といれて嬉しいよ。」
「…そう」
「反応うすー笑 まあ、そういう所も好きだけど」
すると彼はバッとこちらを向いて顔を赤くしている。
「え、や、見ないで」
「それは"照れる"って感情だねえ。一つ感情を知れたじゃん。やったね!」
そう言うと、彼はふはっと吹き出して、
「何それ、僕に感情が無いとでも?」
勘違いされちゃあ困るなあ、と言う。
勘違い…?何それ。何時も真顔なんだもの。そう思うに決まってるじゃない。
「…逆にあるの?」
「あるさ。だって君が好きなんだもの」
と言って私の両頬を大きい手で包む。
「僕と付き合ってくれる?」
「…喜んで」
私はそう答えた。
だって、好きな人にそんな真剣な眼差しで言われたら、断れないじゃない。
───────フィクション───────
色とりどりの花々と
花の匂いに包まれて
スカートふわりと弾ませる。
そんな君に
花束を。
題名:花束
三日月
その時は朝の3時程で、私が寝室に行くと、 ベランダの窓に何かが反射している。
白でもない。黄色でもない。唯、綺麗で明るいオレンジ色の三日月だった。
私は気になって、ベランダに行く。
写真を撮りたくなる程の綺麗さだった。
こんなに綺麗な三日月を見た事がなかったから、 涙が出てきそうになった。
生きていれば、こんなにも美しいものが見れる。
そう考えさせてくれた三日月の形や色は、一生忘れないだろう。
───────実話───────
たくさんの愛情をもらい、与える。
大人になったら私がやりたいことの一つだ。
沢山の"愛"を知ってもらいたいから。
キャンドル
少し早めだがそろそろクリスマスということもあり、家に色々と飾っていく。
クリスマスツリーやリース、小さいサンタさんやトナカイの飾り物、雰囲気作りのためにLEDライトやスノードームまで買った。
一応これで全てのはずが、何か足りない...
何かないかと街に出て小物屋さんを見る。
「無いか...諦めようかな。」
と、私はぽつりと呟いた。
そんな私に「私はここにいるよ」と言っているようなひとつのキャンドルがあった。
そのキャンドルはクリスマスに相応しい、美しく、そしてどこか儚く、雪を連想させるキャンドルだった。
ついつい見惚れてしまい長居していると、店員さんに少し引かれてしまった。
まあ、買うからいいか。
「すいません、これお願いします。」
と言い、レジに出す。キャンドルにしては高かったが、そのくらいの価値があるのだろうと思った。
「あれ...こんな品うちにあったっけ?」
と店員さんが小さく呟いた。
新しく仕入れたもの?それとも、私の為に出てきてくれたのかな?
と変な妄想をしながらも私はキャンドルを家に持ち帰った。
キャンドルを飾ってみると、足りなかったものが付け足されてとても満足した。
今年のクリスマスも、充分楽しめそうです。
───────フィクション───────