哀愁をそそる
学校の帰り道。
夕焼けに照らされ1人ぽつんと歩くこの道。
もう冬に近付いてきて、風が吹く度に葉が落ち、辺りを見渡しては枯れ木が並んでいる。
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毎日のように辺りを見渡すあの背の低い少女の影は、哀愁をそそっている。
鏡の中の自分
今日も鏡の中の自分と向き合う。
「メイク...やっぱり盛れないなあ 。」
私は目の素材がダメだから。私は人前でマスクが外せなく、いつもマスクを付ける生活でとてもつもなくブスになっているのだろう。
全ての素材がいい子はメイクなんかしなくたって可愛いんだろうなあ...
ああ、自分を見ることが嫌だ。私は周りからどう思われているのだろう。
目だけでいい。もう、整形しよう─────
カウンセリングを何度か行ってお金を出す。
幸いなことに私はまだ18歳未満だったので、お金は安く済んだ。
手術が終わり、ダウンタイムが終わるのを待ったが、とても痛かった。
こんなもの二度としない...
ダウンタイムが終わり、鏡で顔を見る。
「これが私────?」
パッチリとした二重。元々鼻は忘れ鼻に唇は薄かったのでとても可愛くなっていた。
鏡の中の自分は─────
まるで悪魔にでも取り憑かれたかのようにニヤリと笑った。
───────フィクション───────
眠りにつく前に
オルゴールのネジをそっと回す。
その音色は優しく、私を夢の中へと誘う。
眠りにつく前に私は、
オルゴールの暖かい音色に包まれる。
永遠に
「私、あなたの隣に永遠にいるからね!
覚悟しといてよ〜?笑」
そんなことを言った彼女は、昨日屋上から飛び降りた。
「美しい蝶のように飛び降りて──────」
飛び降りの瞬間を見た生徒はニュースでそう言った。
人の死がそんなにも美しいの?私には理解が出来ない。どうかしてるわ。
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なんであなたが先に天使になってんのよ笑
"最期も一緒"って言ったの、あなたの方でしょう?
これだから人間の「永遠に」って言葉は信じられないの。
けれど、「永遠に」を唯一信じれたのはあなただけだった。
私の隣に「永遠に」いるって約束したよね?
あなたみたいに美しくはないかもだけど。私も今、そっちに行くから。
私があなたのその約束、叶えてあげる─────
これで永遠に一緒にいられるでしょう?
───────フィクション───────
理想郷
「私の理想郷は〜、んー…そーだなあ〜!
お菓子がいっぱいある世界、とかっ!」
可愛いあの子はそう言う。その子の理想に男子は、
「××ちゃんって理想まで可愛いのかよ笑」
と発言する。やはり顔が良いだけでチヤホヤされるのだろうか?
あの子が言った発言を私が言ったらどうなるだろうか?きっと男子から
「太るぞ笑」 「考えることまでデブかよ。」
なんて言われるだろう。
だから私の理想郷は
"可愛いあの子のいない世界" だ。
あの子がいなければ私はこんなにも言われなくて済んだのだ。比べられなくて済んだのだ。
そして───虐められなくて済んだのだ。
あの子さえ、あの子さえいなければ。生まれてこなければ___
「来世はお前より可愛くなってやるから!!!!」
そう一言放ち、少女は屋上から飛び降りた。
まるで、一匹の美しい蝶のように。
───────フィクション───────