理想郷
「私の理想郷は〜、んー…そーだなあ〜!
お菓子がいっぱいある世界、とかっ!」
可愛いあの子はそう言う。その子の理想に男子は、
「××ちゃんって理想まで可愛いのかよ笑」
と発言する。やはり顔が良いだけでチヤホヤされるのだろうか?
あの子が言った発言を私が言ったらどうなるだろうか?きっと男子から
「太るぞ笑」 「考えることまでデブかよ。」
なんて言われるだろう。
だから私の理想郷は
"可愛いあの子のいない世界" だ。
あの子がいなければ私はこんなにも言われなくて済んだのだ。比べられなくて済んだのだ。
そして───虐められなくて済んだのだ。
あの子さえ、あの子さえいなければ。生まれてこなければ___
「来世はお前より可愛くなってやるから!!!!」
そう一言放ち、少女は屋上から飛び降りた。
まるで、一匹の美しい蝶のように。
───────フィクション───────
10/31/2023, 1:45:03 PM