匿名。

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10/31/2023, 1:45:03 PM

理想郷



「私の理想郷は〜、んー…そーだなあ〜!
 お菓子がいっぱいある世界、とかっ!」

可愛いあの子はそう言う。その子の理想に男子は、

「××ちゃんって理想まで可愛いのかよ笑」

と発言する。やはり顔が良いだけでチヤホヤされるのだろうか?

あの子が言った発言を私が言ったらどうなるだろうか?きっと男子から

「太るぞ笑」 「考えることまでデブかよ。」

なんて言われるだろう。


だから私の理想郷は


"可愛いあの子のいない世界" だ。


あの子がいなければ私はこんなにも言われなくて済んだのだ。比べられなくて済んだのだ。



そして───虐められなくて済んだのだ。



あの子さえ、あの子さえいなければ。生まれてこなければ___





「来世はお前より可愛くなってやるから!!!!」




そう一言放ち、少女は屋上から飛び降りた。




    まるで、一匹の美しい蝶のように。







    ───────フィクション───────

10/30/2023, 2:26:34 PM

懐かしく思うこと




6、7年ほど前かな。
ばあちゃん家で大晦日の前だったから大掃除をしたとき。


私がピアノのコンセントを引っ張ろうとしたら火花が散って、指が真っ黒になって火傷したなあ…笑

私は泣きわめいて、ばあちゃんが水道まで連れて行ってくれて。指に水を当てて冷やしてくれて。
ばあちゃん
「大丈夫だよ」
って言ってくれたよね。


ああ、懐かしい。






ねえばあちゃん。なんで逝っちゃったの?

ばあちゃんは私と会う度に痩せこけていったよね。私が最後に聞いた言葉は、病院で面会をした日の
「ばいばい」
だったよ。

ねえ、どうして?長生きするって約束したでしょ?


私の誕生日は9月19日だよ。
ばあちゃんは9月20日に亡くなったね。
ありがとう。私の誕生日、祝ってくれたんだよね。私絶対ばあちゃんのこと忘れないからね。
行ける時はばあちゃんのお家とお墓に行って、線香立ててお供え物もちゃんと置いていくよ。



      これがばあちゃんと私の
          “約束”
          だからね。



私が約束を破ったらバチを当ててくれる?笑
でもばあちゃんのことだからしない、っていうか、できないかなあ。



これが私の懐かしい思い出です。

10/28/2023, 5:19:48 AM

紅茶の香り


 私は紅茶の香りが苦手で、母が淹れている紅茶の香りでいつも目が覚める。
いつも「紅茶はやめて。」と言うけれど、やっぱり母は
「紅茶の味も香りも大好きでやめられない!」
って。そう発言した母が少し面白くて、笑ってしまった。

母と話をして私は
「行ってきます!」
と言い、学校へ向かった。
母は家のドアから私の登校姿を見て、キラキラとした笑顔で
「行ってらっしゃい!」
と言ってくれた。私まで笑顔になった。
 今は亡き父も紅茶が大好きだったな、と思い出しながら電車に乗る。

 学校へ着くと、友達が
「ハッピーバスデー!」
と言ってくれた。ああ、そうだ、今日は私の誕生日だ。
「覚えててくれたんだ。ありがとう」
そう言い席に着く。

───────────────────────

 授業が終わり、放課後。友達とたわいもない話をしていると、電話があった。
私が小さい頃からよく通っている病院からだった。

「お母様が交通事故に遭いました。すぐに来てください。」

 私はすぐに病院に向かった。
でも私が向かった時にはもう遅かった。私の誕生日ケーキを買いに行った帰り、大型トラックに轢かれて亡くなった、とお医者様から聞いた。
 家に帰ってからは一晩中泣いた。そして一睡も出来ないまま朝を迎えた。

 母が朝、いつも淹れていた紅茶を飲んでみる。
やっぱり、私の口には紅茶は合わない。
けれどこの日から私は──────


紅茶の香りが大好きになった。






    ───────フィクション───────