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9/29/2025, 5:49:47 AM

永遠なんて、ないけれど

あれば良いと願ってしまう。この瞬間、この時間、今まで感じたその刹那を切り取って保管したい。
でも保管したところで見直しはしない、自分の心の奥底の誰にも見られない場所に隠して、隠して、鍵をかける。自分でもどこに隠したか分からないくらい、遠い場所。そうして、随分時が経ってから思い出す。

そんな時もあった、と。

それは、きっと、他でも無い永遠だろう。

目の前の棺をみてそう思う、花に囲まれた友人の身体は今まで見て来た中で一番綺麗だった。外は酷い雷雨で騒がしいが、式は粛々と行われる。

アイツを連れて逝くのは、後光じゃなくて雷光だ。


9/9/2025, 10:24:49 AM

フィルター

色眼鏡という言葉、聞いた事があるだろう。
偏見や固定観念といった意味を持っていて、真実を見誤ってしまう際に使われる。

この色眼鏡、何色なんだろう。

すごく気になる。

私はこの言葉を聞いた時に、ぽんと浮かぶのはピンク色。理由はわからないが、青や黒はサングラスのイメージが強いからイメージに入らないのだと思う。

それと、ピンク色のレンズなら外から見ても掛けている人と目が合う様な気がする。
見られている人も、見ている人も、どちらもピンク色の貴方を見ている。

みんなの色眼鏡は何色なんだろうか

9/9/2025, 7:23:20 AM

仲間になれなくて

普通の人なら自分の予定や何かしらのイベントを書くであろうスケジュール帳。
私の場合、最初のマンスリーページはずっと白紙だ。
何かしらの予定があっても、書かないのが悪いことは百も承知。時折ちゃんと書いてあるページもあるが、大体は頭に記憶するか携帯に記録するかのどちらかだ、

数えてしまえば。今年も残り4ヶ月。

真っ白なページにほんの少し、彩りが欲しい。

xのいいね欄やブックマークに入れていた欲しいものの発売日や映画の上映日、展覧会の予定を片っ端から拾い上げて書き込んだ。

思ったよりも埋まった。

きっと、全部は買えないし行けない。

友人と一緒なんてもってのほか。良い目に遭ったことがない。

来月の黒いインクで埋まったページは、私の隙間を埋めてくれただろうか。

10/22/2024, 8:35:29 AM

声が枯れるまで

「雨は止んだ?」

振り返ると掛け布団が動いて少しだけ持ち上がっていた。自分で見ればいいのにと思いつつ、ベランダ側の窓を開けて雨音を聞かせてやる。

「まだ」
「そう」

しゅると布団を持ち上げていた白い指先が引っ込んで、布団が再びこんもりとした山の形に戻る。私は低気圧に影響を受けることは無いが、相手は真逆の体質で雨が近づく度に頭痛を引き起こしてしまう。薬を貰っている筈なのに、負けた気がするから飲みたくないらしく、耐えられるギリギリまで服用したがらない。
久しぶりに2人が一緒の休み、本来であれば新しく出来たカフェで新作のケーキを食べる予定だった。しかし、蓋を開ければ土砂降りの雨。私は昨日の夜から何となくこうなりそうな気がしていて、お泊まりしたいと相手に伝えて今の状態である。

「……ごめん」
「なんで謝るの?」
「予定が台無しになった」
「天候は私たちがどうこう出来るもんじゃないから、仕方ないよ。また今度一緒に行こう」

布団の隙間からずぼっと顔を出した相手の頭を撫でた。湿気のせいでもふもふになる髪が嫌いらしいが、触り心地が楽しいので私は好きだ。私は布団の上から相手を抱きしめる。

「ココアを買ってきるんだけど、飲む?」
「鍋で作るやつ?」
「うん」
「飲む。新しく買った蜂蜜があるから一緒に作ろ」
「そうしよう」

2/27/2024, 1:14:23 PM


今日は雲ひとつ無い良い天気、窓から吹き抜ける風はまだ少し寒いが春の雰囲気を感じる。机の上のマグカップからは、美味しそうな珈琲の香りが薄く漂う。うーん、と彼女は伸びをする。こきこきと肩の関節が鳴り、少しだけ体がスッキリした。
時刻は正午を少し過ぎた辺り、陽の光は心地よすぎて眠気を誘う。
そうだ、部屋の掃除をしよう。体も動かすことが出来るし、きっと頭に霞がかかるような眠気も吹っ飛ぶ事間違いなしだ。
そうと決まると彼女の動きは早かった。まずは机の上に広げたノートやプリントを隅に寄せて、飲みかけの珈琲をごくんと飲み下す。休む間もなく部屋の中に手をつける。床に置きっぱなしていた読みかけの本、有線イヤホンにゲームソフト、広げたままのエコバッグ。
足の踏み場はあるが、散らかっているのは間違いないだろう。とりあえず、床の上のものは机と椅子の上に避難させる。掃除機を下の階から持ってきて、塵一つ残さないように吸い上げ、その後はしっかり粘着テープをコロコロさせておく。
「よし、完璧!」
掃除機もコロコロも元の位置に戻し、小物類も床の上から消えている。やっぱり体を動かすのは良い事だ、部屋も片付いて一石二鳥だなぁと思いながら、ふっと壁のカレンダーに目が止まる。
「明日が定期テストって事以外は…完璧…」


”現実逃避”

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