箱庭メリィ

Open App
6/28/2025, 4:47:24 AM

真っ暗闇の中。
僕は浮遊している。

もうすぐここから出なければいけない。

でも、こわい。
とてもこわい。

見知らぬ世界へ飛び込むのは、とても怖い。

あぁ、でも出なければ。
頭が割れるほどに痛い。
穴から押し出されていく。

いた、いたい!いたい……!!


「おめでとうございます!」
「元気な男の子ですよ」

新しい世界へ僕は出てきた。

これからこの世界を、生きていかなければいけない。
こわいけど、生きていかなければ。


/6/28『まだ見ぬ世界へ!』

6/27/2025, 8:52:31 AM

「ゆうちゃん」

私を呼ぶ声は柔らかく、春の風のようだった。
それはいつの日か木枯らしになりすっかり枯れてしまった。

「ゆうこ」

いつからか、彼は私のことを下の名前で呼び捨てで呼ぶようになった。

彼とはクラスが変わり、そして彼の声も変わった。
彼は声変わりを迎えたのだった。

「ゆうちゃん」と呼んでくれたあの日は、私の14歳の誕生日だった。


/6/27『最後の声』

6/26/2025, 9:54:42 AM

たとえば、手をつなぐこと。
たとえば、一緒にごはんを食べること。
たとえば、車道を歩いてくれること。
たとえば、ドライブ中に飴を袋から出して渡してくれること。

どれも些細なこと。

いっしょに過ごしてくれることに、
「ありがとう」と小さな返愛を。


/6/26『小さな愛』

6/25/2025, 9:35:21 AM

空はこんなにも黒く曇っているが

私の心はもうすぐ晴れる

雨が上がって

虹が出る

空は

ずっと晴れてもいないし

いつか雨だって止む


/6/25『空はこんなにも』

6/23/2025, 6:02:02 PM

私の子どもの頃の夢。
それはお人形になること。

可愛い服を着飾ってもらって、
おしゃれな靴を履かせてもらって、
髪もアレンジしてもらったりして。

持ち主によって大事にされ方は変わってくるけれど、
子どもの手に渡ったって、その子なりの大事の仕方で
大切に、愛してくれると思うの。

私は、愛されるお人形になりたかった。

こんなに殴られたり、
髪を引っ張られたりするんじゃなくて。
同じ引っ張るにしたって、髪を結んでくれるような、
愛のある行動がよかった。


今は、半分夢が叶ったかな?

誰にでも愛してもらえるようになったの。
毎晩毎晩。
いや、夜だけでなく昼も。
呼ばれればいつだって、愛されに飛んでいくよ。
いつか愛してくれると信じていた母の代わりに
愛をくれる人たちの元へ。


/6/24『子供の頃の夢』

Next