箱庭メリィ

Open App

「ゆうちゃん」

私を呼ぶ声は柔らかく、春の風のようだった。
それはいつの日か木枯らしになりすっかり枯れてしまった。

「ゆうこ」

いつからか、彼は私のことを下の名前で呼び捨てで呼ぶようになった。

彼とはクラスが変わり、そして彼の声も変わった。
彼は声変わりを迎えたのだった。

「ゆうちゃん」と呼んでくれたあの日は、私の14歳の誕生日だった。


/6/27『最後の声』

6/27/2025, 8:52:31 AM