卵を割らなければ

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4/13/2025, 12:03:53 PM

ひとひら

ひ ひとひら、ふたひら、みひらと
  降ってくる花びらには
  物語が書かれていた

と 灯のようにほのかな光をまとう
  その花びらの

ひ ひとつひとつに

ら ♡(ラブ)と記した

4/12/2025, 3:23:38 PM

風景

 小学校の創立記念で、みんなで風船を飛ばすことになった。前日、風船につける花の種と手紙が配られた。手紙は宿題になった。
 僕は、先生が例として挙げた自己紹介や、花の種を植えてくださいという、拾った人へのお願いではなく、ただ一行URLを書いた。
 URLは一文字でも間違えたら表示されないんだ。だから何度も写し間違いがないか確認してから封をした。花の種のほうは庭にばらまいて、袋は捨てた。

 次の日の創立記念式典のあと、生徒全員が校庭に出て、先生の合図のもと、いっせいに風船を飛ばした。
 青い空に向かって、たくさんのカラフルな風船がのぼっていく。とてもきれいだった。僕は写真に撮っておきたかったけど、学校にカメラを持ってきてはいけないんだ。
 強い風が吹いていた。風船が山の向こうに流されて見えなくなるまで、みんなで空を見上げていた。

 僕は家に帰って来ると、パソコンを立ち上げて、手紙に書いたURLを開いた。
すぐにたくさんの写真が画面に表示された。
 川沿いの桜。雪につけた足跡。公園の遊具。池の鴨。夕焼けの空。釣りをした川。庭に咲いた薔薇。
 僕が撮った風景写真だ。
 低学年のとき、父さんからカメラの使い方を教わった。僕は写真が好きになって、父さんと一緒に出かけた先でいろんなものを撮影した。僕が父さんを撮り、父さんが僕を撮った。
 画面の写真には、人物はひとりも写ってない。
 僕は誰かを撮ることをやめてしまったんだ。本当ならこの風景のどこかに、父さんと僕が笑って写っているはずなんだって、そんなふうに思うから。


 風船につけた手紙が父さんに届くと思うほど、僕は子どもじゃない。わかっているんだ。大人たちの話をつなぎ合わせれば、父さんはたぶんもう、生きてはいないんだろうって。

 数週間後、種をばらまいたところから、芽が出ているのを見つけた。僕はそれを写真に収めた。

4/11/2025, 11:37:08 AM

君と僕

き 君のこと僕は
  鏡の中からずっとずっと

み 見てきたよ

と 時々

ぼ 僕は君と入れ替わる

く クローゼットの奥に葬られた
  黒いドレスを着るために

4/10/2025, 12:56:44 PM

夢へ!

現実を見てるあなたに語る夢
夢の言語を翻訳できない

4/9/2025, 10:59:30 AM

元気かな

【1】

げん 現金5万借りて出てった

き  君が

か  帰って来るなり10万貸してと

な  泣きついてくる


【2】

げん 現実で会うことはないが

き  気にしている

か  勝手ながら

な  仲間ではなく
   同志だと思っている

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