卵を割らなければ

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2/17/2025, 11:08:09 AM

輝き

か カラスが
が ガラスでも集めて
や 屋根の上に乗せたのでしょう
き キラキラしてます

か カミソリや
が 画びょう入れるの
や やめてくれ 嫉妬か
き きらめく才能持つ 私への

か 価格に驚き
が 我慢する
や 八百屋に並ぶ
き キュウリの緑よ

か 神なのです
が 画面の君の姿って
や 病んでる私の
き 希望なのです

か 彼女たち
が ガールズトークで盛り上がる
や 焼き鳥にビール
き 今日を生きてる

2/16/2025, 11:29:11 AM

時間よ止まれ

じ 事故なのだ

か 彼は盲目であるのに
  付き人も付けず
  ひとり寝台列車に乗っていた

ん 「んー、何時だろう」
  彼は寝台から起き上がる

よ 酔っていたのだ
  彼には寝酒をする
  習慣があったから

と トイレと間違えて
  外に通じるドアを
  開けたのに違いない

ま まっさかさまに落ちて――
  地面に叩きつけられる

れ 列車は彼の転落に気付くことなく
  無情にも走り去ってゆく


内田百閒「東海道刈谷駅」へのオマージュです。
宮城道雄を悼んで。

2/15/2025, 1:16:22 PM

君の声がする

君の声がする。
僕は目を覚ました。
「ここからだして」君はそう言った。
「無理だよ」と僕は答えた。

「だれかいる!?」
君はびっくりしたようだった。
「だれ?」
「僕は僕だ」
君はそれ以上聞かない。
「とじこめられたの。たすけて」
「閉じ込められたわけじゃないよ」と僕は言った。
「だって。せまいもん。こわいよ」
君は泣き出しそうだ。

「落ち着いて。時期が来たら出られるから」
「でられる?じゃあいますぐだして」
「無理だよ」
「なんで?」
「無理だから」
「えーん」
ついに泣いてしまった。

「今はだめだ」
「なんで?」
「君が君だから」
「どーゆーこと?」
「君のままでは出られないってことだよ」
君はしばらく黙ってしまう。
「わたしはわたしじゃだめなの?」
君は不安そうだ。
「変わらないといけない」
「そんな」
君はショックを受けたようだ。
「かわるちからなんてないよ……」
「あるさ」
「…………やだ…………わたしはわたしだもん…………むにゃむにゃ」
君は眠ってしまったようだ。


時が来たら君は変われる。

今はやわらかい黄身だけど、もう少ししたら、かたいくちばしを持ったひよこに変わる。そうしたら自分で殻を壊して、そこから出ることができるんだ。
僕は確信を持っている。だって僕は君の兄さんだから。ピヨピヨ!

2/14/2025, 11:26:03 AM

ありがとう

あ 愛されてなどいないんだ

り 理解者など不要
  私は孤高の小説家だ

が ガトーショコラの差し入れだって?

と 糖尿病にさせる気か?

う うん、まずくはないな

ご ご苦労なことだ、手作りとは
  手紙が入ってる

ざ 残念だが、返事はしない主義だ

い 今はひとりにしてくれないか
  そうだ、締め切りを失念していた

ま ……まいったな

す すっっっごくおいしかった!!

2/13/2025, 2:23:28 PM

そっと伝えたい

そ そろそろ

つ 伝えないとまずいよな

と 止めないと僕は

つ 罪を犯すことになる……

た 大量の積み上がった皿越しに

え 「遠慮してたの」
  とにっこりする彼女

た 「たくさん食べなよ」
  とは言ったけれど

い いつまで食べ続ける気だろう
  飲食代が足りない

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