夢路 泡ノ介

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2/27/2024, 12:28:49 AM

僕から去って幾星霜。
報せも噂も風にも来ず。
思い出に塗れたかつての頃。
少しでもいいからもう一度。

【君は今】

1/23/2024, 11:21:25 PM

叶うこと能わず。
触ること能わず。
なのになぜ、思い出してしまうのだろう。
二度とないのに、あのひとときが恋しい。
これが、夢というものなのか。
不思議と受け入れてしまうものだ。

【こんな夢を見た】

1/21/2024, 2:45:41 PM

カーテンから漏れる淡い光を仄かな灯りに、
なおも暗い部屋でお互いに額をくっつける。
艶かしく零れる吐息が肌にかかり、
ふと離した女は淋しげに見つめてきた。
言葉は交わさず、眼差しで求めてくると、
甘美に唇を重ね、愛を念じて伝え合う。
やがて影をくねらせ、恥じらうも嬌声を上げ、
共に落ちてゆく感覚への悦びを覚える。
ひとりぼっちの月夜は今日だけ戸締り。
肌身を寄せて孤独を置き去りにして。
もしかしたらこの日だけかもしれない。
褥を共に、ぬくもりで傷を癒すこの時が。

【特別な夜】

1/18/2024, 12:38:33 AM

朽ちる流れに身を任せ、
気儘な寒空が肌を隠させる。
来たる暮相は曙色に染まり、
終を告げる風はどこか優しく。
外套を纏って帽子を目深く、
閑散に包まれた街路を歩く。
現世の石畳をあてもなく辿り、
堅い靴音と日常が木霊する。
微風が裾を翻し、
頬をよぎるそれにどこか嬉しく、
朱色一つの今世でもまた、
ひとりぼっちの旅が始まる。

【木枯らし】

1/14/2024, 11:34:51 PM

知覚した。
眼前の衝撃に脳が強いられた。
焼きつくような感覚が全身にわたる。
今すぐ逃げろという信号が本能となって己を急かしている。
だが動けない。
指先一つも動かせない。
額に突きつけられた冷たい鉄の凶器に、理性が凍っている。
——なぜなんだ。
嘘と言い聞かせるには無理があった。
これから親友に殺されるとは、彼が想像できなかったのだから。

【どうして】

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