「愛を叫ぶ」
僕が何か叫ぶとするなら、その時は盛大に笑ってよ。
想像してみて欲しい。僕が君に、口を大きく開けて、不細工な顔で叫ぶ姿を。きっと君は一日中笑ってるだろうね。
決して格好つけてる訳じゃないのだけれど、柄じゃないんだよ。人目だって気になるし、恥ずかしいからね。
でもね、時々どうしても叫びたくなるんだ。君は知らないだろうね。それは僕の願望でもあって、実は気付いて欲しかったり、まあいいんだけど。
君と話す度に、君を知る度に僕は、僕の心に毒が回る。
その笑顔は、おかしくなりそうなほどに甘くて、苦い。
僕は君に、確かに恋に落ちた。
だからいつか叫ばせてよ。
君に伝えないと、壊れてしまうから。
君を困らせてしまうのが怖い。
笑ってくれるのなら、それ以上は望まない。
だから…
「明日世界が終わるなら」
明日世界が終わるとしたら、世界が終わるその瞬間、僕は何を思い、何をしているだろうか。
僕は思い描く。いつもと変わらないような時間を、いつも通りの心持ちで過ごしたい。それが1番、美しい人生の終り方だろうから。(これは僕の価値観に過ぎないけれど)
でも僕は臆病者で、愚か者だ。臆病者で愚か者だから、その時になって初めて、今まで過ごした時を振り返り、君に感謝を伝える。僕に明日はない。それが判った時に突拍子もなく、「ありがとう」を口にする。
そして僕はふと思うだろう。ここまでしなければ、感謝の言葉1つすらも、言えやしないのだと。そこで初めて気づくのだ。自分の犯してきた罪に。心の底に眠る罪悪感に。
明日世界が終わるなら、僕は罪を償いたい。
償い方も、君の心も、何も解らないまま。
「君と出逢って」
君はいつも孤独だった。
誰も彼も、君を見ては嘲笑った。
君は1人で生きてきた。そして強くなった。
それでも君は嘲られた。
僕はいつも孤独だった。
誰も彼も、僕を見てやしなかった。
僕は1人で生きていく。か弱い僕はそう誓った。
その時、君と出逢った。
僕と君は違った。何もかも正反対だった。
それでも似た者同士の僕らは、諍いが絶えなかった。
口を開けば互いが、不器用な2人は心をぶつけ合った。
不思議だった。どこか楽しかったから。
ガサツで喧嘩っ早い君が、真っ直ぐな瞳で僕を見る。
君がガハハと笑う。思わず笑みがこぼれる。
僕はただ満たされていた。
あの頃から月日は流れて、
僕は大きくなった。
僕に足りなかったものを、君に出逢って、
全てを君に教わった。
君にはもう触れられないけれど、
君は僕の心の中でずっと、
僕に笑いかけている。
春風に舞った桜の花びらが、僕らを呼んでいる。
「耳を澄ますと」
僕らは音に囲まれています。
それは喧騒であって、自然であって、鼓動であって、
生きていることを実感する瞬間。
人は最期のその瞬間まで耳を澄ましていると、
そう心の何処かで思った今日この頃です。