「君と出逢って」
君はいつも孤独だった。
誰も彼も、君を見ては嘲笑った。
君は1人で生きてきた。そして強くなった。
それでも君は嘲られた。
僕はいつも孤独だった。
誰も彼も、僕を見てやしなかった。
僕は1人で生きていく。か弱い僕はそう誓った。
その時、君と出逢った。
僕と君は違った。何もかも正反対だった。
それでも似た者同士の僕らは、諍いが絶えなかった。
口を開けば互いが、不器用な2人は心をぶつけ合った。
不思議だった。どこか楽しかったから。
ガサツで喧嘩っ早い君が、真っ直ぐな瞳で僕を見る。
君がガハハと笑う。思わず笑みがこぼれる。
僕はただ満たされていた。
あの頃から月日は流れて、
僕は大きくなった。
僕に足りなかったものを、君に出逢って、
全てを君に教わった。
君にはもう触れられないけれど、
君は僕の心の中でずっと、
僕に笑いかけている。
春風に舞った桜の花びらが、僕らを呼んでいる。
5/5/2024, 2:19:26 PM