結果から云えば、僕は生きのびた。
つまりは、失敗に終わったのだ。
夏は別れを告げたのにも関わらず、
まだ熱の残る季節だった。
目を覚ましたのは、
川沿いの遊歩道にあるベンチの上だった。
最後の記憶は眼前に広がる川な気もするし、
橋の欄干によじ登った自分の姿のような気もする。
そこからは曖昧だ。
重たい身体をどうにか持ち上げると、髪が、脚が、洋服が、汗か水かも分からぬままにぐっしょりと濡れていた。
なぁ、生きるってなんだよ。
『シニタガリ』を美しいと云う時代は終わった。
辛い、苦しい、痛い、寒い。
臭い、汚い、醜い、いらない。
そんな言葉をなぞって、
あなたの胸を傷つける必要なんてどこにもない。
あなたの世界はあなただけのものだ。
あなたの好きにすればいい。
きっと周りは少し気になって、つついてくる。
そんな時は声をあげよう。できる限りの大きな声を。
大丈夫。
あなたの声は思っているよりも随分ちっぽけで、
その声を周りはほとんど気にしないかもしれない。
でも、その声は届いている。
隣の席のあのひとが友達になるかもしれない。
イジワルなあの子が親友になるかもしれない。
あなたの声は、あなたをちょっと幸せにできる。
心模様っていうのは、
晴れだとか、雨だとか、
そんな簡単なモノじゃなくて。
心模様っていうのは、
まだら雲だとか、ゆうだちだとか、
すこし複雑なものなので。
心模様っていうのは、
朝だったり、夜だったりもするようで。
わたしの心にある空の、
色も、模様も、楽しみたいな。
憂いでるとか、儚いだとか、
そんな言葉で人生満了未遂の彼らを崇め、
神格化してはいけない。
自死は逃亡だ。
自死は解脱だ。
そこに正しさや間違いは無い。
優しさも慈悲も無い。
そして、往くべき者は死者を責めることも、
褒めることも、羨むことも許されない。
美しいものは、常に未来だけである。
絶望の果てに魅せた結末を、
美しがっては、いけない。
ダンスホール。
放たれる一筋の光を背後に受け、
キミはボクの手を取った。