『シニタガリ』を美しいと云う時代は終わった。
辛い、苦しい、痛い、寒い。
臭い、汚い、醜い、いらない。
そんな言葉をなぞって、
あなたの胸を傷つける必要なんてどこにもない。
あなたの世界はあなただけのものだ。
あなたの好きにすればいい。
きっと周りは少し気になって、つついてくる。
そんな時は声をあげよう。できる限りの大きな声を。
大丈夫。
あなたの声は思っているよりも随分ちっぽけで、
その声を周りはほとんど気にしないかもしれない。
でも、その声は届いている。
隣の席のあのひとが友達になるかもしれない。
イジワルなあの子が親友になるかもしれない。
あなたの声は、あなたをちょっと幸せにできる。
心模様っていうのは、
晴れだとか、雨だとか、
そんな簡単なモノじゃなくて。
心模様っていうのは、
まだら雲だとか、ゆうだちだとか、
すこし複雑なものなので。
心模様っていうのは、
朝だったり、夜だったりもするようで。
わたしの心にある空の、
色も、模様も、楽しみたいな。
憂いでるとか、儚いだとか、
そんな言葉で人生満了未遂の彼らを崇め、
神格化してはいけない。
自死は逃亡だ。
自死は解脱だ。
そこに正しさや間違いは無い。
優しさも慈悲も無い。
そして、往くべき者は死者を責めることも、
褒めることも、羨むことも許されない。
常に美しいものは、未来だけである。
絶望の果てに魅せた結末を、
美しがっては、いけない。
ダンスホール。
放たれる一筋の光を背後に受け、
キミはボクの手を取った。
雨は日暮れに降りだした。
もう秋だと云うのに空気は湿めっていて、
私の体をベタつかせている。
最近、気を張り詰めていたのではないか。
ふと、そんな気がしてせっかくなので、
公園で雨宿りをすることにした。
深い意味はなかった。
少し洒落た喫茶店でも良かったし、
油で汚れた中華店でも良かった。
たまたま近くに公園があって、
たまたま懐かしい気持ちになった。
ただ、それだけだった。
束の間の休息。
雨の音も、雨を弾く傘の音も。
水溜まりを走る、車の水しぶきも。
なんだか、久しぶりに聞いたような気がする。
また、明日がやってくる。
私は、どこか涼しげに。
されど強かに、公園を後にした。