風を斬り、黒を纏う
仄かに香った、
見た目とは反した甘ったるい匂い
このまま触れてしまいたいくらい
振り返った瞬間、
突き刺さるような衝撃が走った
求めている
欲している。
求められている
欲しがりな貴方。
月明かりも何もない、
纏っていたものもない
香りだけが鼻の奥にまで
こびりついている
深夜二時、ここで。
1/26「ミッドナイト」8
かくしごと
君は安心させすぎるとだめになる。
そう、呟いた君
私には、到底理解できない。
ひめごと
君の気持ち、知ってるよ。
言い過ぎた時の後悔だって
甘えたくなる瞬間だって
脳裏に焼き付いた、一枚一枚の写真に
君のすべてが。
誰よりも知っている
わたしの方が。
不安が襲うたび
そう、考えてしまう。
だから今だけは。
そっと、
寄り添って
抱き合って
見つめあっていたい。
貴方のすべてをわたしに。
1/25「安心と不安」8
夜の淵へ、堕ちてゆく
静けさを辿り、未知の世界へ堕ちてゆく
白く、細い一本の腕を頼りに
悲しく、愛しい
無情にも。
細い指が視界を遮る
見てはいけない、
光り輝く白い泡が、そう告げているような気がした
只管、呑み込まれ、堕ちてゆく
涼しい、でも何も浮かばない
薄情にも。
鱗がきらきらと露になったそのとき
鰭が視界を塞ぐ
これで、最後だから、
遠のく意識が、そう告げているような気がした
1/20「海の底」8
二十歳
海が見える街の片隅で
彼が選んだ花束と共に
今日一日を彩る、百合の花
1/10「20歳」8
ひらいて、綴じ、とじる。
初日の出。
桜の下で。
砂浜にふたり。
秋の遊歩道で。
初雪を背景に。
一枚一枚、詩を添えて。
君のまあるい目に似た、太陽
桜桃のような艶のある唇
浅瀬で燥ぐ、海色の水着を着た姿
遊歩道を歩きながら歌った、昔ながらの童謡
ライトアップされた街よりも輝いている
君と一緒に過ごした、春夏秋冬。
ぼくときみだけの、アルバム。
1/6 「君と一緒に」 8