夜明け前
紺碧に染まっている空に一筋の光が地平線を白く染めている。
空に瞬く星たちはまた明日と手を振り、
月は恋しい太陽に会えると喜んでいる。
元気に飛び回る蝙蝠たちも家路につき、
虫たちのコーラスも次第に終わりを迎える。
二つの色に、
決して交わらない二つの時間の境界線。
全てが眠りにつく時間が終わりを縫えつつある。
私たちを遠い空から見守っているものたちが、
今日も安全に…と心配げに見下ろしている。
下にいるものたちは、大丈夫。また明日。
と言っている。
さあ、そろそろ夜明けだ!
また新しい日が始まろうとしている。
その束の間の間。
緊張感と安堵感が共存する時間。
本気の恋
本気の恋をしたことがない。
どんなものだろう?
よく聞くのは今まで見ていた景色が色づき、
何者にも耐えられないくらい愛おしくなった…とか、
いろんな自分を見つけられたとか、
その人といる毎日が幸せだ。
とかはよく聞くけれど、
果たしてそうなのだろうか?
もし本当なのなら、いつか自分もそう感じてみたい
一人の人を大事に、大切にしたい
誰よりも愛してみたいと思う
カレンダー…
一月から十二月。
睦月から師走。
365日。
全て一年を表す言葉だ。
1月は新しい年が始まるとワクワクし、
2月はチョコレートをもらえるかドキドキ、
3月は別れの季節で寂しく、
4月は新しい生活に少し緊張、
5月は新しい日常にバタバタと忙しなく、
6月は雨の季節によって髪がまとまらない、
7月はだんだんと暑くなり、
8月は花火に祭、海にプールと楽しみがたくさん、
9月は月を見て風流に、
10月は仮装をしてハロウィンの夜に繰り出す、
11月は寒くなりこたつでまったり、
12月はクリスマスが近づいて大切な人と過ごす、
除夜の鐘を聴いてまたくる一年を楽しみに待つ。
カレンダーを捲るたびに、
楽しみが増え、新しい人との出会いを楽しむ。
別れは少し寂しいけれど、日は巡っていく。
そんな日々を迎えていく…
喪失感
失ったものは2度と戻らない。
亡くしてからその大切さに気づいても、もう遅い。
溢れる涙も、締め付けられる胸も、息もできなるほどの苦しみも、
どれだけそれが大切だったか、
その全てが語っているというのに。
もう一度元に戻れるのなら…
いや戻れなくても、また一からやり直せるのなら…
今度こそ大事に大事にするのに。
そう、君がいない部屋のベッドで
君が好きだった月夜に誓う。
世界に一つだけ
いつも生きていて思うことがある。
なぜ、生まれてきたのだろう?
なぜ、理由もなくただ息をしているのだろう?
そんなものに答えなどないと分かり切っているのにね。
夢を見る。
未来の出来事だったり、ただの作り物だったりと様々
その中の自分が自分ではないような、
そんな夢を見る。
夢の中での自分は嬉しそうで、
きちんと喜怒哀楽があった。
夢も、愛する人も、
他人を信じることもできていた。
自分と異なる点が多くあることに気がついた。
羨ましいと思う。
いっそのこと夢の世界で行きたいと思えるほどに…
けれど、どれほど恋焦がれ、
羨んでも、叶わないことを嫌というほど知っている。
それに、自分が生きて死ぬ世界は、
今いるここだということも知っている。
家族を悲しませたくない。
そう思うから、どんなに息苦しい毎日でも、
先が見えない毎日でも、生きている。
この世界が自分の唯一なのだと毎日考える。