@何番煎じ

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11/17/2024, 12:35:45 AM

『はなればなれ』

離れ離れという言葉を聞いて、人々は何を…誰を連想するだろうか。

私は大人になってしまった今、脳裏にたくさんの人が思い浮かぶ。実家にいる家族や親しい友人、遠くに住んでいる親戚、学生時代のクラスメイト、前職の同期や先輩方、今となっては連絡さえとっていない人達、亡くなっていったあの人。しかし、いまいちピンとこない。

確かに、物理的距離が離れているから言葉の通りのはずなのに。そうだけど、そうじゃない“ナニか“があるみたいだ。それが何なのかははっきり言ってわからない。…頭が悪いからか?少しモヤモヤする。


考えてみた。やはり答えはわからない。あまり考え過ぎるとゲシュタルト崩壊してしまいそうになった。


離れ離れなのは私の中にある“ナニか”な気がする。

7/21/2024, 12:21:03 PM

『今一番欲しいもの』

特に欲しいものはない。
私が真っ先に思ったことだ。

私はお金持ちでもなければ、バリバリ仕事ができるわけでもない。友達が多いわけでも充実した趣味があるわけでもなく、ましてや恋人がいるわけでもない。
家族仲は悪くはないが、特別良くもない。既に母は他界しているし、母方の祖父母も後を追うように亡くなった。

物欲が無いのではない。

ただ与えられた今、この時を謳歌するのに特別なものを必要としていないのだ。

なんとなく日常で必要なものは自分で手に入れられる。高価なものを欲しいとは思わない。自分自身の身の丈に合ったものが一番しっくりくるからだ。
これは目に見えないものにも言えることだ。

よく友人が「恋人が欲しい」と口にしていた。
私は愛されたいのかなと思っていた。だが、ただ愛されたいのであれば家族や友人でいいではないかと考えた。何故なら、その友人は家族からも他の友人からも愛されていたからだ。つまり、“恋人“という存在に愛されたかったのである。

しかし、一方的な愛では上手くいかないのが人間というもの。愛されるには愛さなければならない。友人にはその覚悟があったのかも知れない。尊敬する。私にはそのキャパがないから。そう考えると“恋人”も身の丈に合わないんだと実感する。
少し寂しい気もする。

もしかすると私が一番欲しいものは自分自身の中の余裕かも知れない。

7/4/2024, 2:30:15 PM

『神様だけが知っている』

そもそも“神様“というのは
果たして存在しているのだろうか。
名ばかりで、姿を見たことがあるという人に
私は出会ったことがない。

時に人は、他の人に対して
「神様のような人だ」と比喩することがある。
出会ったことのないモノのようだと言うのは
もはや褒め言葉なのだろうか。

人は誰しも“神様”という宗教の象徴に
人生で一度は願ったことがあるかも知れない。

だが、よくよく考えてみると
なんの根拠もなく、実際には見たこともない
出会ったこともない神様に縋っているというのは
あまりにも滑稽でまた個人的には恐怖を覚えた。



そのようなことも踏まえ“神様”はいるのだろうか。

人が依存できるよう都合よく作り出した
“最も人に似たナニカ“。

そういう風に思えてならない。

7/1/2024, 1:12:46 PM

『窓越しに見えるのは』

また今日も来ている。
ここ最近、毎日のように来ている。

キジトラ柄の雌猫。

耳には切り込みがある。さくら耳だ。

いつもご飯やおやつを可愛くおねだり。
それに毎回やられてついついあげてしまう。

晴れの日も雨の日も窓のそばまで来て
私が気付くまで静かに待っている。


窓越しに見えるのは愛おしいあなた。

6/30/2024, 3:04:24 PM

『赤い糸』
突然だが、目に見えていないモノに縋りたくなるのは人間特有ではないだろうか。しかしながら、その見えないモノに縋る一人としては恥ずかしながらも人間らしくていいのではないかと思う。

よくいう赤い糸もその一つだが、私のこの小指には果たして繋がっているのだろうか。この歳になると現実にばかり目がいってしまいがちで夢というモノを見なくなっていた。そこで私は、あえて初心で今よりもずっと清い心を持っていたあの頃を思い出し赤い糸について考えを巡らせた。

好きな人がいたあの頃だ。

正直なところ、好きな人とは赤い糸なんて繋がっていないと思っていた。そんな簡単なモノではないというのが私の考えだからだ。若い子達には耳が痛くなるような話かも知れないが、そんな世の中甘くない。まず、好きな人と結ばれるだけでもなかなか難しい。更に付き合えたとしても上手くいくなんて保証はどこにもない。もっと言えば生涯を添い遂げるなんて到底できることではない。元はと言えば赤の他人なのだから。


ただ私は偶然が重なり、運よく好きな人と結ばれたのだ。どういう経緯でお付き合いに至ったか、その話はまた今度にしよう。

お付き合いが始まっても尚、私はこの方とは赤い糸は繋がっていないと感じていた。もちろん恋人のことは心から愛していたし、幸せにしたいと思いながら日々楽しく過ごしていた。

ある日突然、恋人に質問をされた。
「運命の赤い糸を知っている?」と。
私は「お国によって諸説あるようだけれど、生涯を添い遂げる運命の人と見えない赤い糸で結ばれているというやつかな。」と答えた。
すると恋人は「うん、とても素敵だよね。でも個人的には、目に見えないのだから一層の事見えるように自分たちで結んではいけないのかなって・・・」
確かにそうだな。と何故か納得していた。

そして恋人は、徐に赤い糸を取り出し私と恋人の小指を結びながら「どうせ元は見えず、誰にもわからないモノ。これで誰が見ても私たちは運命的な恋人。」と私の顔を見て微笑んだ。今でもその時のことは鮮明に覚えている。



色々考えている内にとても懐かしい記憶を思い出してしまった。
「何を考えていたの?」
私の隣であの頃と変わらない笑顔で生涯のパートナーが不思議そうにしている。

「いや、懐かしい思い出を振り返っていたんだよ。」と私は答える。

今は見えない、そこに確かにある赤い糸を見つめながら。

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