歩く。あなたと手を繋いで。
いつ、この手を離してしまったのだろう。
あの頃は、ただ夢中だった。
自分のことで精一杯で、あなたの痛みに気付けなかった。
気付いた時には、もう遅くて。
伸ばした手は空を切り、呼ぶ声は届かなかった。
でも今、こうして隣にいる。
温もりが、確かにここにある。
大切なものは、いつだってすぐそばにあったのに。
気付けなかったのは、自分の方だった。
もう二度と、この手を離さない。
何があっても、離しはしない。
あなたと私。
あなたがいるから、私が存在する。
あなたは私がいなくても関係ないかもしれないけれど、私にはあなたが必要なの。
あなたは私のすべて。
あなたの笑顔は、私の暗闇を照らす光。
あなたの声は、私の耳に響くメロディ。
あなたと過ごす時間は、この世で一番の宝物。
あなたがいるから、私は生きていける。
あなたがいてくれないなら、私なんていらない。
眠りにつく前に、どうしても確認してしまう。
あなたからのメッセージが届いていないか、スマホの画面をそっとなぞる。
ついさっきも見たばかり。届いていないことなどわかりきっているのに。
それでも、指が勝手に画面をタップしてしまう。
今頃あなたは私のことなど忘れ、彼女の細い肩を抱いて眠っているだろう。
それでもいい。それでもいいから。
二番目でいいから、そばにいたい。なんて……
「……バカ、だよね」
自分でもわかっている。
都合のいい女だって。
あなたは彼女を愛しているし、別れるつもりもないだろう。
それでも、『好きだよ』と囁く声音が優しくて、抱き寄せる腕が温かくて、私は離れられない。
部屋の明かりを消し、スマホを握りしめたままベッドに潜り込む。夜中でも、彼の連絡にいつでも答えられるように。
『愛してる』と打ちたい指先をぎゅっと握り、目を閉じる。
どうか、明日はあなたから連絡が来ますように。
幸せとはなんだろう。
『日の出』のお題に書いたことが起こる世の中で、こうして生きているだけで幸せだと思う。
ご飯が食べられ、寝る場所があり、話せる人がいる。
当たり前の日常。
それは何物にも代え難い幸せじゃないだろうか。
ネットの記事に上がっていた。
初日の出がエヴァい、と。
エヴァンゲリオンはよく知らないが、雰囲気だけは知っている。
なるほど、使徒が現れそうだと思った。
そのせいなのか、今年は波乱の幕開けだった。
年明け早々、大きな地震に津波。
旅客機と航空機の衝突炎上。
電車内での切りつけ事件。
もう何も起こらないことを祈るとともに、被害や災害に遭われた方、被災された全ての方々に心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
どうか、困難を乗り越え、明るい未来に向かって進めますように。