10/13/2023, 12:28:46 PM
彼の放課後はいつも自由だ。
だけど、その日は雑用を頼まれて遅くなった。
友達は先に帰ってしまっている。
教室に鞄を取りに行くと誰もいない。
この後に一人で行くところもない。
なのに、彼は一人が嫌ではなかった。
彼はそれが何だか寂しかった。
10/12/2023, 9:50:44 AM
カーテンが揺れている。
彼がその事に気付くと冷たい風が入ってきた。
今は21:00だ。
彼の夜の時間はあっという間に過ぎていく。
彼の世界に夜しか無かったら人生はあっという間だ。
夜の仕事をしている人はそうなのだろうか。
彼は冷たい風を追いかけて街に出掛けて行きたくなった。
だけど、明日も朝早く出勤する。
結局、彼の夜は寝るために眠るために存在してしまう。
10/11/2023, 9:51:38 AM
彼女は泣いていた。
僕は、慰めたかったけど出来なかった。
若かったからだろうか。
今なら出来るのだろうか。
きっと、できない。
僕が泣いていたときはそっとしておいてほしい。
この違いで彼女はいなくなったのかな。
僕は慰められることないと知りながら泣いていた。
9/30/2023, 9:46:27 AM
彼女は部屋で一人、ピアノを弾いていた。
同じ所を何度も。
指が覚えるまで。
そして、やっと弾けるようになると彼女は止まった。
ピアノの音がない彼女の部屋は静かだった。
彼女は静かな部屋で鍵盤に置いた指を見ていた。
(...可愛くない手。)
彼女がそう呟くと静寂に包まれた部屋はまたピアノの音に包まれた。
9/29/2023, 1:12:04 AM
季節の別れ際に彼は風邪を引いた。
はぁ。
ずっと溜め息ばかりついている。
熱は下がり体は動くが少しだるい。
明日は仕事に復帰しなければならない。
風邪さえ引かなければ。
そう思うがどうしようも無かった。
好きな秋の始まりは風邪からだった。
そう思っても秋を嫌いにはならない。
ただ、溜め息ばかり。