小石 涼

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 彼女は部屋で一人、ピアノを弾いていた。
 同じ所を何度も。
 指が覚えるまで。
 そして、やっと弾けるようになると彼女は止まった。
 ピアノの音がない彼女の部屋は静かだった。
 彼女は静かな部屋で鍵盤に置いた指を見ていた。
 (...可愛くない手。)
 彼女がそう呟くと静寂に包まれた部屋はまたピアノの音に包まれた。
 
 

9/30/2023, 9:46:27 AM