しじま

Open App
12/18/2024, 5:36:52 PM

 ホワイトアウト寸前の吹雪の中。

ようやく辿り着いた藁葺の古民家の引き戸を薄く開ければ、袂に包まれてヌクヌクとしていた黒猫が「お前はもう用済みだ」とばかりに私の腕の中から抜け出して、軽快な足取りで戸の内へと入っていった。

薄情なヤツだな、ため息一つ吐いて再び引き戸に手を伸ばせば、ガララッと音を立てて引き戸が全開になる。

「こんな日に当たるなんて、災難だったな」

 ホラ早く入れ、と綿入れを羽織った君がニカッと笑った。


 最近では、ヒートショックという危険なモノが流行っているそうで。

「足先とか手とか、末端から掛け湯するんだぞー」

 と、浴室と脱衣所を隔てる薄い摺り硝子越しに声をかけられた。

「はいはい、わかりましたよ」

 そう言って、手桶になみなみ入った湯をザバッと豪快に肩にかけると、君の忠告を無視して湯船に飛び込んだ。

テーマ「冬は一緒に」

12/17/2024, 5:56:07 PM

クリスマスプレゼント、親が貰って喜ぶ物とは何だろうか?

服とかは趣味が合わないし、欲しそうにしていた楽器は場所を取る。

この間の健康診断で、糖分塩分油分を控えろと医者に言われたので、お菓子や肉類は駄目。

トンカツとか酢豚とか食べたがるけど、鶏胸肉の素焼きで我慢してもらってる。

商品券とか現ナマは自分の為にとっておきなさい、と言われるだろうし。

花の好みも真逆、そしてペットがイタズラするから置けない。

う〜ん。

――タラバガニ、か?

いや、でも、枕元にタラバガニは、ちょっと……。

いや、まてよ。

足元ならイケるか?

テーマ「とりとめもない話」

12/14/2024, 2:21:46 AM

腹は膨れない。

病気は治らない。

寒さは凌げない。

役に立たない愛よりも、金が欲しい。

そう願うのは可笑しなこと?

テーマ「愛を注いで」

12/8/2024, 5:49:02 AM

何か重たい物を下ろす音と共に「ただいまぁ」と君の声がした。

それっきり、リビングに来る気配がない。

なんだ?

キッチン横の洗面所の引き戸から廊下へと顔を出せば、見知らぬ大きな段ボール箱にだらりと凭れている君。

今度は何を持って帰ってきたんだ?

重そうな段ボール箱をズリリ……、と押しながら目の前までやって来た君に問えば、何時ものへにゃへにゃな笑顔が返ってきた。

勤めている店のクリスマスツリーを新調したとかで、今までお店で使っていた方を貰って帰ってきたそうだ。

これで我が家の質素なクリスマスが一気に華やかにゴージャスになるよ!

なんて君がウキウキしながら早速リビングで、バラバラになっているツリーの白い骨組みを繋げていく。

「新しいのは幹のとこまでホワホワァ〜って光るんだよ!それがすっごく幻想的でね綺麗!」

ふふふ、と思い出し笑いをしながら組み上がった真っ白なツリーを「よいしょっ」と立たせれば。

「星、つけられないな」

「うそっ!?」

天辺の一枝が僅かに天井に触れていた。

テーマ「部屋の片隅で」

11/26/2024, 6:47:06 PM

なんてタイムリーなお題。

今まさに風邪引いてるよ。

鼻水と喉痛、軽いめまい。

夕方から関節が痛みだして、咳もたまに出るようになった。

薬が切れてこの時間に目が覚めたのか、神経が切り替わる時間帯だから息苦しくて目が覚めたのか。

よくわからないが、市販薬で治っておくれ。

この『微妙』な時期に、病院には行きたくないの。

テーマ「微熱」


Next