庭先に遊びに来た猫の家族。
母猫2匹と仔猫が5匹、母子か姉妹か分からないが、仲良く一緒に子育てしているようだ。
草むらを駆けずり回るチビ達を家の中、カーテンの隙間から、そっと覗く。
真っ青な芝の上で転がったり飛び跳ねたり、庭木をよじ登ったりと忙しない。ああっ、ラグラスがっ!
庭がめちゃくちゃになる前に捕獲せねば――!
猫缶と大型ケージを密林でポチった。
テーマ「上手くいかなくたっていい」
今年も立派なゴーヤーカーテンが出来上がり。
真夏の強烈な日差しを柔らかな光に変えてくれる。
小さな黄色い花には、蝶々が蜜を吸いにヒラヒラ飛来。
肥料を撒いて、水をやって、水をやって、肥料を撒いて。
大きなゴーヤの実がなった。
冷蔵庫は急冷凍室まで占領され、キッチンの棚は勿論、カウンターの上にまで積み上がった。
食べても食べても無くならず、それどころか一日の収穫本数はどんどん増えていき、今やピークを迎えて。
リビングのローテーブルの上にまで、オブジェのように数本のゴーヤが組まれて安置されていた。
テーマ「最初から決まってた」
今日は先生から箱庭を与えられた。
白い砂が敷き詰められた大きな箱庭。
棚の中の模型も自由に使って良いよ、と笑顔で言う先生にお礼を言い、さっそく棚の前に立って物色した。
小指位の小さな模型、多種多様なポーズやコスチュームの人型、動物、積み木のようなシンプルな物もある。
かっこいいのから、かわいいのまで。先生の趣味、かな?
気になった模型をいくつか手に取って、箱庭の砂の上に一つ一つ置いていく。
今日は暇なのか、先生はそれを眺めているだけだった。
テーマ「つまらないことでも」
あと何日、君と過ごせるのかな。
暗闇に慣れた目で隣に眠る君を見た。
君の顔がこちらを向いていた。
仰向けで寝ているのに、首を傾げるような、不自然な角度で。
君の、黒い穴のような両目が私を捉えていた。
黒カビが生えたかのような口端を歪に吊り上げ、低い声で君が笑う。
「あと、ごびょう」
耳元で聴こえた君の声に驚いてガッと飛び起きれば、手で口元を押さえながら私を睨む君が目の前にいた。
テーマ「目が覚めるまでに」
目の前で舟を漕ぐ君を見入りながら、食後のコーヒーを啜る。
オリンピックが開催されてから早一週間、開催国との時差のせいで昼夜逆転してしまった君。
朝食のトーストにバターを塗りながら、かくりこくりと首が揺れて。
ビクンっと身を震わせた君が瞼を開けて、それからまたゆっくりと伏せていく。
かくんかくんと揺れる頭、開閉を繰り返す瞼、大きなあくび。
いつもなら君と他愛もない話をしている時間なのに、君は半分以上夢の中だ。 面白くない。
目尻に溜まった涙を拭おうとした君の手を掴んで、テーブルに身を乗り出し、日に焼けた目尻にチュウと口付ける。
「目が覚めた?」
君の涙で湿る唇をペロリと舐めて笑えば、目をまん丸にした君がこくこくと頷いた。
テーマ「もし、明日晴れたら」