目の前で舟を漕ぐ君を見入りながら、食後のコーヒーを啜る。
オリンピックが開催されてから早一週間、開催国との時差のせいで昼夜逆転してしまった君。
朝食のトーストにバターを塗りながら、かくりこくりと首が揺れて。
ビクンっと身を震わせた君が瞼を開けて、それからまたゆっくりと伏せていく。
かくんかくんと揺れる頭、開閉を繰り返す瞼、大きなあくび。
いつもなら君と他愛もない話をしている時間なのに、君は半分以上夢の中だ。 面白くない。
目尻に溜まった涙を拭おうとした君の手を掴んで、テーブルに身を乗り出し、日に焼けた目尻にチュウと口付ける。
「目が覚めた?」
君の涙で湿る唇をペロリと舐めて笑えば、目をまん丸にした君がこくこくと頷いた。
テーマ「もし、明日晴れたら」
8/2/2024, 6:50:52 AM