願い事は口に出してはいけない。
自身の、心の中に留めていなければならない。
一言でも発すれば、その願いが叶うことは一生ない。
何かを成し遂げたいと思うなら。
そうしなければいけない。
「やっぱり置き換えダイエットなんてムリだよね〜」
丁寧に包んで焼き上げた夕飯のギョーザが、君の口の中に吸い込まれていく。
ひょいひょいパクパクと、咀嚼しているようには思えないスピードで飲み込まれていくのを、一つ目のギョーザを口に運びながらジト目で睨んだ。
痩せると良いな。疾病以外で。
テーマ「何気ないふり」
生きている限り、終わりはない。
新たなスタートラインに立つだけ。
自分が「良いな」と思った方へ、進めばいい。
回り道に坂道、吊橋だって、歩いてみれば案外楽しいものだ。
お好きにどうぞ、道はいくらでもある。
道なき道を行く、っていうのも面白いかもね。
だから、好きにいきなよ。
みんな最期は、同じなんだから。
テーマ「ハッピーエンド」
「もう大丈夫だと思うよ」
ほら、と竹串を二本お箸のように持った友人が器用に生地をひっくり返していく。
おお〜凄い、と君と私、二人して歓声をあげた。
「こんなの、誰だって出来るしー」
照れ隠しに悪態をつきながらもタコ焼きを生みだしていく友人に感謝の気持ちを込めて拍手。
『かんぱーい』
もう一人来るはずの友人を待たずに、そのままタコ焼きパーティー開始。
「でもタコ焼きじゃないよね、中身ウインナーだし」
「試しに焼いてみたの、次はちゃんとタコを入れるよ」
「ねえ、チーズも入れてみようよ、帰りにスーパーで買ったんだ」
「また肥っちゃうよ?」
「なに、また太ったの?」
「二人してヒドい〜!」
酒やジュースを片手に焼き上がった熱々のウインナー入りタコ焼きを抓みながら、他愛もない話に花を咲かせた。
まだまだ、タコ焼きパーティーは始まったばかり。
テーマ「My Heart」
急募:タコ焼きを完璧に焼ける人
やはりシャバシャバな液では固まらず、プレート上は未だに平らなままだ。
加熱された生地を竹串で弄くるも、クリーム色のベチャベチャと青ネギが引っ掛かるだけ。
どういうことだ、話が違うじゃないか。
生地の上に散らしたネギやキャベツが、ひっくり返すのを邪魔しているようで、なんだか憎たらしくなってくる。
温度が低いからか、とタコ焼きプレートのツマミを調整していると、ガチャっと玄関のドアが開く音がし、次いで複数の賑やかな声が廊下から漏れ聞こえてきた。
テーマ「ないものねだり」
今日は、色々とやらなければいけないことがあるのだけど。
足元のヒーターの熱とザーザーと降る雨音のせいで、瞼が重い。
さらにアナログ時計の秒針の音がダメ押しして、もう降参〜とばかりに欠伸が出た。
ちょっとだけ寝るかな……。
パソコンをスリープモードに切り替えて、広いデスクの上に突っ伏した。
テーマ「好きじゃないのに」