生きている限り、終わりはない。
新たなスタートラインに立つだけ。
自分が「良いな」と思った方へ、進めばいい。
回り道に坂道、吊橋だって、歩いてみれば案外楽しいものだ。
お好きにどうぞ、道はいくらでもある。
道なき道を行く、っていうのも面白いかもね。
だから、好きにいきなよ。
みんな最期は、同じなんだから。
テーマ「ハッピーエンド」
「もう大丈夫だと思うよ」
ほら、と竹串を二本お箸のように持った友人が器用に生地をひっくり返していく。
おお〜凄い、と君と私、二人して歓声をあげた。
「こんなの、誰だって出来るしー」
照れ隠しに悪態をつきながらもタコ焼きを生みだしていく友人に感謝の気持ちを込めて拍手。
『かんぱーい』
もう一人来るはずの友人を待たずに、そのままタコ焼きパーティー開始。
「でもタコ焼きじゃないよね、中身ウインナーだし」
「試しに焼いてみたの、次はちゃんとタコを入れるよ」
「ねえ、チーズも入れてみようよ、帰りにスーパーで買ったんだ」
「また肥っちゃうよ?」
「なに、また太ったの?」
「二人してヒドい〜!」
酒やジュースを片手に焼き上がった熱々のウインナー入りタコ焼きを抓みながら、他愛もない話に花を咲かせた。
まだまだ、タコ焼きパーティーは始まったばかり。
テーマ「My Heart」
急募:タコ焼きを完璧に焼ける人
やはりシャバシャバな液では固まらず、プレート上は未だに平らなままだ。
加熱された生地を竹串で弄くるも、クリーム色のベチャベチャと青ネギが引っ掛かるだけ。
どういうことだ、話が違うじゃないか。
生地の上に散らしたネギやキャベツが、ひっくり返すのを邪魔しているようで、なんだか憎たらしくなってくる。
温度が低いからか、とタコ焼きプレートのツマミを調整していると、ガチャっと玄関のドアが開く音がし、次いで複数の賑やかな声が廊下から漏れ聞こえてきた。
テーマ「ないものねだり」
今日は、色々とやらなければいけないことがあるのだけど。
足元のヒーターの熱とザーザーと降る雨音のせいで、瞼が重い。
さらにアナログ時計の秒針の音がダメ押しして、もう降参〜とばかりに欠伸が出た。
ちょっとだけ寝るかな……。
パソコンをスリープモードに切り替えて、広いデスクの上に突っ伏した。
テーマ「好きじゃないのに」
今夜は友人も呼んでタコ焼きパーティー。
しとしとと降る雨の音をBGMにして、包丁でザクザクと青ネギを刻んでいく。
ツンとした爽やかな匂いが鼻を擽り、クシャミが出そうになったが何とか堪えて、切り刻んだネギをボウルの中へ移した。
クリーム色をしたシャバシャバの液をかき混ぜながら、「ホントに固まるのか、コレ」と疑問に思う程、シャバシャバしている生地。
時計を見れば、君の帰宅時間も、約束の時間もまだだいぶ先のようだ。
試しに焼いてみるか。ウインナーで。
戸棚からタコ焼きプレートを出して、寝室から持ってきた延長コードをコンセントに差し込む。
温度調節のツマミを捻ってから、プレートが温まるまで暫し待つ。
充分に熱くなったプレートに液をおたまで流し込むと、ネギと紅しょうがをパラパラと散らし、ぶつ切りのウインナーを穴一つ一つに入れていく。
ジュウジュウと音をたてながら火が通って固まっていくのを、竹串を手に持ちながら、祈るように見つめた。
テーマ「ところにより雨」