しじま

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10/12/2023, 5:03:01 PM

 かくれんぼ、おにごっこ、たかおに、かんけり……。

思えば子供の頃は遊んでばかりだったなあ、とコーヒーを飲みながら思い出し笑いをしていると、洗い物を終えてテーブルの向かいに座った君が手を拭きながら、怪訝そうに私を見ていた。

 物静かな君は子供の頃、どんな遊びをしていたのかな。

案外、女子達とママゴトとかをしていそうだ、と思いながら君に聞いてみると、少しだけ不機嫌そうな顔で私を睨んで。

さり気なく目線を目の前に置かれたコーヒーに移して、角砂糖を六つ、黒い液に落としてから優雅な所作でコーヒーを一口二口飲む君。

暫しの沈黙、かちゃりとカップをソーサーに置いて一言。

 黙秘権を行使します。
……それから、ままごとは絶対に、してませんからね。

そう言って笑う君の笑顔が少しだけ怖かった。

テーマ「放課後」

10/11/2023, 4:48:39 PM

生まれる前から全否定されてきたので、今更どうにかしようなんて考えてなんかいない。

楽しいだとか、嬉しいだとか、そんなものはいらない。

美味しいものが食べたい。

ブランド物の服やアクセサリーが欲しい。

そんな汚らわしい欲も必要ない。

地位も、名誉も、金も、何もかも、どうでもいい。

無感動にこの場に居るだけ。

このくだらない世界が終わるまで。

テーマ「カーテン」

10/10/2023, 4:00:13 PM

月がとても綺麗だから。

ずっと昔に居なくなってしまった君のことを思い出す。

月の光のような美しい銀の髪を靡かせて、ふわりと微笑む君。

愛しい人。

ずっと一緒にいられると信じていたのに。

ある日突然、君は居なくなってしまった。

愛しい人、今は何処で、何をしているのだろうか。

月がとても綺麗な夜に、私ひとり。

君のことを思いながら目蓋を閉じる。

テーマ「涙の理由」

10/9/2023, 4:02:01 PM

 どこもかしこも極小住宅に変わってしまって、大きな庭のある家や凝った植栽のある住宅が無くなってしまった。

面白みのない家々、外に飛び出したムダにツルピカな車の反射がウザい。

これからも住居の極小化が進むのだろうか?

今作られた極小住宅を更に何分割かして家を建てて、またその家を更に分割して、また分割して、さらに分割していったら……。

棺桶サイズの家が出来てしまうのでは?!

なんて、バカなことを考えながら、君の待つ家へと帰る。

テーマ「ココロオドル」

10/9/2023, 8:57:19 AM

 モゾモゾと腕の中で君が動く気配がして、反射的に腕に力を込めた。

「ぐふぅ」と何やら苦しげに息を吐きながら起きた君に、気づかれないように笑う。

腕の中から出ようとモゾモゾモゾモゾ、しばらく動いていたが諦めたのか動かなくなった君。

すぴすぴ、と寝息をたてる君の幸せそうな寝顔に癒やされながら、私もまた目蓋を閉じるのだった。

テーマ「束の間の休息」

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