知るために生まれた。
この世のありとあらゆる、ものごとを。
見て、触れて、感じて、そして記録するために。
雨のにおい、風の音、夜の静けさ、朝の爽快さ。
つるつる、とげとけ、ざらざら、ペタペタ。
全てが愛おしい、もっと知りたいと思う。
甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱい、苦い。
かたい、やわらかい、もちもち、さくさく。
フワフワ、キラキラ、ズキズキ、シュワシュワ。
たくさんのものごとを、これからも経験していく。
良いことも悪いことも、たくさんたくさん。
知らないことだらけのまま、消えたくはない。
テーマ「生きる意味」
川辺に束になって生えている、丈の長い草。
ネズミや小鳥が巣を作り、たまに蛇なんかも休憩している。
風に揺れ、サワサワ音を立て靡く緑。
とある地域では、冬に燃やしてしまうそうだ。
虫の卵や草の枯れた部分だけが焼けて、春になったら新芽をにょきりと出すらしい。
夏になるとススキのような、トウモロコシのような穂がポフポフ揺れる。
なんていう植物か、知ってるかい?
テーマ「善悪」
ふとしたとき、空を見上げる。
朝、起き抜けにカーテンを開ける時に。
昼休憩の、社食の窓辺の席で。
夕闇に染まる、駅のホームから。
夜、寝る前に。
遠くに居る、今は見えない君を思い、ただ祈るのだ。
紐を垂らして帰って来れたら良いのに。
それはムリだよ、と君に笑われたのは随分前のように感じるが、まだ半月前だ。
帰還の日を指折り数えて、夜空を見上げる。
無事に帰ってきますように、と。
テーマ「流れ星に願いを」
背筋を伸ばして胸を張る。
後背筋に力を入れて、顎を引いて、肩を落とす。
腰を軽くひねるように早足で歩く、歩く時は一本の線に足裏を乗せるように大股で歩く。
腕は肩から、力み過ぎないように振る。
目線は少しだけ上、5~6メートル先を見る。
口は必ずキュッと閉じる。
こうやって歩けば、職質されないし、変なのにも絡まれない。
たぶん。
テーマ「ルール」
今日は、ブラックの気分。
鼻歌交じりに自販機のボタンを押して後悔した。
苦い、果てしなく。
思わず飲み口を覗き込んで、中身を確認する。
なんか、いつもより苦くないかい。
すんと匂いを嗅ぐ、甘く芳ばしい香り、間違いなくコーヒーだ。
もう一口、飲んでみる。にがっ。
苦い、何でこんなに苦いのか。
首を傾げつつ、燦々とした陽射しの中、缶コーヒー片手に歩いていくのだった。
テーマ「今日の心模様」