沈む夕日――――
学校帰りの夕暮れ時、いつも決まった場所で一休みするのが日課だ。家と学校の中間に河川敷があり、そこから見る景色はとても美しいものである。浅い川だがしっかりと透き通った水は、夕方になると淡いオレンジになり、空には濃く照らす夕日。体感5分……実際のところは15分程度時間が進んでいるのだが、ゆっくりと沈む夕日を眺めて、今日一日の締めくくりとする。
星空の下で――――
夜中に山奥で夜景を見ている男女。傍から見ればカップルと思われてもおかしくない組み合わせだ。
でも僕達は付き合っていない。何処にでも居る在り来りな男女でしかなかった。
ほら、見てよ。
月明かりと満天の星空が広がる夜空。
人工的な光が一切無い世界ってどう?
物珍しそうに食い付いてるね。
現代じゃ中々見られない景色だし、がっついちゃう気持ち分かるよ。
楽しい?喜んでくれて僕も嬉しいよ
――――え?いやいや気の所為だよ。大丈夫、安心して?まだ何も言ってないからさ……あっ、もう答え言っちゃった。ロケーションも完璧だし、折角の機会だから僕から言おうかな。
僕と付き合ってください。
星空の下でキミに恋した僕
それでいい――――
ありのままでいいとか、君らしいとか、現在進行形の形を保っていればキミは喜ぶみたい。
本当の私は……醜くて胸が苦しくなる。自分の姿さえ見ていられない程に苦しい。それなのにキミは私に対していつも変わらぬ笑顔で優しく答えてくれる。
「無理に変わろうとしなくても大丈夫だよ。貴女はそのままが一番輝いて見えるから。無理に着飾ろうとしなくていいからね……って言えば言う程負担になるかな?でもね、苦しんでる貴女をいつも見ている僕の気持ちも少しは理解してほしいかな……?ありのまま――今の貴女、僕はそれでいいからね」
1つだけ――――
Q.もしも、1つだけ願いが叶うなら
貴方は何を叶えますか?
恋人が欲しい?結婚相手が欲しい?お金持ちになりたい?高級車が欲しい?
人それぞれ違った回答をするでしょう。中には面白い回答をする人もいると思います。1つの願いを3つに増やしてほしい……なんて反則的な願い事を。
でもね、僕はそんな回答だっていいと思います。
1つを3つに増やす……0から1を生み出すより遥かに簡単な事ですから。
しかし、それはあくまでも現実での話です。
願い事なんて所詮夢や希望の1つに過ぎません。
それすら叶えてくれない神は神ではない……と言うと少し過激でしょう。
だが、こういった思想を持つことは悪くない。
それを踏まえて貴方なら何を叶えますか?
僕は勿論――――
貴方の夢を叶えたいですね。
大切なもの――――
「こんな小汚い指輪なんて1円の価値にもならん」
「うーん、磨いたとしても値は付きませんね」
「いやいやこんな汚いの売りに来ないでよ」
『お宅さ、うち舐めてんの?』
どの店も揃ってこの言葉を言う。
俺にとってこの指輪は何億何十億、いやそれ以上の価値がある。だがこれに値を付けろと言われると値が付けられないのが現実だ。
他の人から見れば汚いボロいだけの指輪だけど、俺からすればたった一つの……たった一人の亡き母が渡してくれた大切なものだからな。
まぁそんな大切なものの値を知ろうとしてる俺は、余っ程親不孝なのかもしれないがな……